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意外な一面 2

 やっぱりデリバリーは冷めていた。怜央が温めてくれているけど、出来立ての状態に比べたら美味しさが半減しているだろう。 「ごめんなさい。予期せぬヒートのせいで……」 「術後はホルモンバランスが不安定になって、予期せぬヒートはあり得ることだから自分を責めないで」 「でも出来立てを怜央に食べて欲しかった」  レンジ前に立つ怜央と向き合う形で、肩に触れられて引き寄せられた。  腕の中で鼻腔いっぱいに彼の良い匂いを感じた。 「出来立てはこれから幾らだって食べられるよ。僕たちが初めて結ばれた後のご飯が、このデリバリーってすごく思い出に残らない?」  抱きしめられたまま頭を撫でられて、優しい言葉に心があったかくなった。そして涙が溢れた。  こんな風に全て肯定してくれる怜央がやっぱり好き。彼無しじゃもう生きている気がしない。 「どうして泣いてるの?僕、何か言ったかな」 「どんな僕でも受け入れてくれるから、嬉しくてつい涙が出てしまいました。今までこんな扱い受けたことがないから」 「郁美は大切で大好きな人だから、これからはたくさん僕に愛されてね」  涙を拭われて瞼にキスが降ってきた。今までΩの自分が嫌いで醜い存在だと思っていたけど、怜央はそんな僕を好きだと、大切だと言ってくれる。  それと同じだけこれから返すことができるだろうか。ずっと一緒にいるんだから少しずつ彼に伝えていきたい。 「さぁ、温まったから食べようか」  レンジから皿を取り出してダイニングへと向かった怜央の逞しい背中を見ながら後を追った。  今はまだ貰うばっかりだけど、いつかちゃんと返すから。少しだけ待っていてほしい。 「美味しそう」 「何がいいか悩んだけど和食にしてみたよ」 「ありがとうございます。僕達これから同棲するですね」 「うん。ずっとそばに居てね」  優しく頬を染めて笑う怜央に釣られて、笑みを返して美味しそうな和食を食べ始めた。  そぼろご飯と付け合わせのお弁当は出汁が美味しくて次々に食べ進められた。 「これとっても美味しいです」 「良かった。でもそんなに慌てて食べたら喉詰めちゃうよ」 「これが美味しくてつい。気をつけますね」  そんなこんなであっという間に食べ終えた。怜央もそんな僕を見ながら食べ進めて完食していた。  片付けは彼が率先してやってくれて、僕はソファでゆっくりさせてもらっている。    食事のお礼に片付けや洗い物を申し出たけど、まだヒート中で抑制剤の効き目も経過観察が必要だからと、安静にしているように言われてしまった。  医師である怜央の言うことを素直に聞いて、キッチンにいる彼を見つめていた。  

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