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*スイートな夜  7

 腰を抱え直されて、より深い角度で灼熱を受け止める体勢になった。キスを強請ると更に苦しい仰向けの体勢でキスが落ちてくる。  優しさを感じるキスだが、舌を絡ませ貪るような激しいものへと変わっていく。  これほどまで余裕ない怜央を見たのは初めてで、心に潜む憂は完全に晴れた。  ラストスパートをかけるように出し入れする動きが、緩急をつけ腰を回すように動いている。激しさ増す動きに今まで感じたこともないような、強烈な絶頂を迎えた。 「アァ!はぁああ!ぅうああっ――!」  内壁に擦り付けるような動きをした怜央のペニスも中で弾けたが、一枚の膜に隔てられ、放たれることなく少し切ない。  直に感じたいと思ってしまった。それはΩにとってリスキーだと理解しているから、軽率なことを言うつもりはない。  長い射精の後、息も絶え絶えで身体が脱力すると怜央のペニスが出て行った。せめてもう少し一つになっていたかった。 「怜央……」 「ごめんね。今スキンを付け直しているから、それともこのまま止める?」 「やだ。もっとほしい。怜央のが勃たなくなるまでちょうだい」 「そんなに煽ったら、食事や入浴も忘れて獣みたいに郁美を抱くよ?嫌だって泣いても聞いてあげられないから」  αに個人差はあるだろうけど、大体が絶倫で結婚しても沢山の愛人や恋人がいると聞いたことがあった。  僕以外の誰かを怜央が抱くなんて考えたくない。彼の満足いくまで受け止めたい。誰にも渡したくない。そんな思いが溢れた。 「抱くのは僕だけだって感じさせて下さい。満足するまで抱き潰して良いですから」 「郁美がこれまで何を見聞きしたかは知らないけど、僕はそんな独りよがりのセックスはしたくないよ。君がもう限界ならここで止めておこう」  愛おしいと言われているようなキスを浴びせられた。紡がれる言葉は全て優しくて、Ωである僕を尊重してくれている。でも渡したくない…… 「そうしたら怜央は他の人を抱く?僕が顔も知らない人を……抱くの?」 「誰ともしないよ。僕には郁美がいるでしょう。他の誰かで満足行くと思う?こんな余裕ないセックスがしたいのは君だけだよ」 「怜央は辛くない?」 「セックスは入れるだけじゃない。こうして肌と肌がふれあい、キスだけでも充分気持ちいい。相手が怜央だからね」  覆いかぶさるようにやってきた怜央の体に、触れ合うだけで僕も気持ちいい。身も心も満たされていくようだ。  不安や憂いが払拭されても、次々に湧いてきて終わることがない。それでも怜央と一緒にいたい。  同じ風景をみて、同じ空気を吸って、同じ夜や朝を迎えたい。これからもずっと……  

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