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第2話

 中学卒業辺りから、涼の美しさが際立ってきた。女生徒だけでなく男子生徒からも告白されたり、待ち伏せされることが多くなった。白い肌に切れ長の瞳。すっと通った鼻筋。艶のある薄ピンクの唇。全てが完璧で注目の的だった。そのためにストーカー被害も多かった。次第に涼は人前であまり笑わなくなった。俺だけは別だ。陶磁器の人形のような危うい雰囲気の涼が俺にだけは笑顔を見せてくれる。涼のこの笑顔を守らないと……。    俺は涼を守るため身体を鍛え、周囲を威嚇するために髪も染めピアスもあけた。  母さんたちはそんな俺を反抗期だと思ってたようだ。涼からも注意された。 「なんで不良みたいなフリしてるんだ? 博信ほど心優しい人間はいないのに」  違うんだよ。涼。俺は優しくなんかない。いつだって、俺はあんたを引ん剝いて裸にして自分のモノにしたいと狙ってる醜いヤツなんだぜ。綺麗すぎて触れると壊れてしまいそうで、このままだと俺自身が涼をひどいめにあわせてしまいそうでいつも不安だった。   俺はよく喧嘩もした。母さんは何度も学校から呼び出されたようだが父親には言わないでくれた。そしていつものように停学をくらって部屋にいると涼が入ってきた。 「博信……ごめん。お前ばかり悪者にされて」 「な? どうしたんだ兄さん?」  涼は俺が涼にしつこく付きまとってる奴らと喧嘩をしてることを知ったようだ。誰かが涼に告げ口をしたのだ。 「俺のせいでごめん。きちんと学校側や向こうの親にも抗議をするよ」 「そんなっ。涼が……兄さんが謝る事なんかないんだ!俺が勝手にしたことなんだから!」 「バカ野郎!お前が俺を守ろうと体をはってくれてたのに……俺は無視すればいいと思って……今まで何も行動に起こさなかったのがいけなかったんだ!」  もちろんこのことは母さんも父親も初耳だったらしくかなり揉めた。  

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