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35.デートの後のお楽しみ②
「誉、ほんとに続きするのか?」
「するよ」
夕飯を終えた午後8時。
食後のコーヒーを飲みながら突然カイはそう誉に尋ね、そして即答されて玉砕した。
付き合い始めてからまだ一週間も経っていないのに、かなり色々と恥ずかしいことを経験してしまったような気がする。
風呂に入る前に、誉から「後で続きをようね」なんて弾ける笑顔で言われたものだから、カイはずっとソワソワしている。
その続きをするタイミングが明確にされていないので、入浴後すぐなのか、食事の後なのか、はたまた今この次の瞬間なのかわからないから落ち着かない。
誉をチラリと見ると、上にホイップクリームをこれでもかというくらい絞ったコーヒーを涼しい顔で飲んでいる。
カイはふぅと息を吐いてうつむく。
何となく手持ち無沙汰だ。開いている本の中身も全然頭に入ってこない。
誉はそんなカイをチラリと見た後、スマートフォンを開く。彼の心拍数と体温がリアルタイム表示されていて面白い。全体的に数値が少し高めなのは、その時を緊張と共に今か今かと待っているのだろう。
「カイ、こっちにおいで」
そう声をかけると、びゅんと心拍数が跳ね上がった。本当に面白い。最高の玩具を手に入れてしまったと誉はほくそ笑む。
カイは既に赤らんだ顔を上げると、ゆっくり誉の横に来た。体とテーブルとの間を少し開けてやると、誉の足の隙間に尻を滑り込ませ、いつもの定位置におさまる。
誉はその頭に顎を置き、後ろからカイを抱いた。
カイの耳が赤い。とても可愛い。
「よいしょ」
誉はそう言うと少し身を乗り出して本棚にしているカラーボックスに手を伸ばした。ギリギリ届いた先から本を一冊取り出す。それは、塾講師先の教え子のものだという例の本だ。
それをカイの目の前に置いて、ペラペラとページを捲る。カイは眉を寄せて一度それを拒絶するように目を閉じたが、好奇心に負けたのか、結局遠巻きにそれを見ている。
「今夜はこれをしたいなと思って」
「……」
「見えてる?」
「み、見えてるし、近づけなくていいよ!」
「まずね」
「懇切丁寧に説明しなくていいよ!
そもそも!そういう本みたいなことは、オレがいいってなるまでしないって言ったじゃんか!」
「正確にはセックスはカイの心と体の準備が整うまでしないよとは言ったよ。
けど、何もせず整うのを待つとは言ってないけど」
「へっ?」
振り返ると誉は満面の笑みを浮かべている。
「その日に向けて、割と急ぎめで心と体の準備を整えていこうね。でないと俺がもたない」
「!!!???」
「ということで、今日はね…。
というかこの本、一通りのプレイが入ってるしわかりやすくていいね。教本に俺も一冊買おうかな」
「や、やだ、絶対やだ!」
「そう?じゃぁ他の本探しておくね」
「探さなくていいよ!」
"うう、やだ…怖い…"
結局、押しが強い誉に勝てないカイだ。
誉の啄むようなキスを受けながらも、恥ずかしいし怖いし既に泣きそうだ。
カイはさっき見せられたページのショックが抜けない。
それは恋人同士とおぼしき二人が、お互いの性器を舐め合っているものだった。
あんなところにそんなことをするなんてカイはそんな発想すらなかったが、誉が「恋人同士のスキンシップとしてはキスと同じくらい普通のことだけど」とあまりにも平然と言うので、そういうものなのかと思って頷いてしまった。
とはいえ、実際に事が始まるとやはり不安でたまらない。ガチガチに緊張していると、誉がふっと笑って背中を撫でてくれた。
「大丈夫だからリラックスして。
たくさん気持ちよくなろうね」
そして、深いキス。
それが始まりの合図だった。
誉はカイの頭をゆっくり撫でて、その体から力が抜けるのを待つ。
次にその手を握ってやると、そっとパジャマ越しに腹を撫でた。
「自分でボタンとれる?」
そして手を離し耳元でそう囁く。
カイは顔を真っ赤にしながら、小さく頷いた。
もだもだとボタンを取る間、誉はカイの耳を甘く食む。ぞわりとした感覚が背筋を襲う。指先が震えたが、何とかボタンを外し終えることができた。
どうせ脱ぐからねと、誉が下着を用意してくれなかったので、カイのパジャマの下は素肌だ。
所在なく手を泳がせていると誉は直ぐにまたそれを握ってくれた。
そして耳への刺激はそのままに、誉の手がパジャマの下に滑り込ませてくる。ぎゅっと握ったその手に力を込めると、誉も同じ様に返してくれた。
「んっ…」
とうとうカイから声が漏れる。
その標的が耳から首筋に移ったからだ。
よりくすぐったくてたまらない。背中がずっとゾワゾワしている。ピクピクと体が震えた。
同時に乳輪の周りを指が這う。
もどかしい刺激に、真ん中の乳首がぷくと膨れたのをカイは自覚した。
恥ずかしくて俯くと、ズボンの真ん中が少し盛り上がっていた。余計に羞恥心を煽られて、モゾモゾと太ももを動かす。
誉がこれを、これから舐めるのか。
あの漫画のページがフラッシュバックする。
カイは急に口内に溜まってきた唾液をごくんと飲み込む。
そのタイミングで誉はカイの顎をついと上げて、またキスしてきた。大きな舌が巧みに自分の舌を絡めながら、ねっとりと舐めてくる。
とても気持ちいい。
手でしてもらっただけであんなに気持ちいいのに、こんな風に舌でされたらどうなってしまうのだろうか。
ふとそんなことを考えてしまった瞬間、ずくんとカイの腰が疼いた。
誉はカイの唇を離して顎、首筋へとキスを下げていく。 とうとうパジャマの前が開かれて、胸にその標的が移った。誉の舌が先端をトントンすると、一気に性感が高まる。
"あ、今ちょっとなにか出ちゃったかもしれない"
カイは慌てて下を見るが、ズボン越しではわからなかった。
しかし気になってその辺りを触ると、
「こっちも触ってほしいの?」
と、誉が意地悪を言う。
「ち、ちが……」
「もうぬるぬるになってるよ。
上手に気持ち良くなれてお利口だね」
「さわんない、で」
「俺の手の中でどんどん固くなってる、可愛い」
「あっ」
「くちゅくちゅって音してるの聞こえる?
すごくエッチ」
「やだってば」
「ズボン汚しちゃうから脱ごうか。
お尻浮かせて、そう、上手。
けど、もう少しおっぱいで気持ちよくなってからにしようね」
「そこ、きもちいのやだ」
「何で?おっぱいで気持ちよくなるの、可愛いよ」
「だって誉、前に女の子みたいって」
「あぁ…。でも、今は女の子より敏感になっちゃったね」
「ひあっ!」
誉はそう言うと一層強く胸を吸う。
最初は乳輪ごと吸い、次に乳首だけをコリコリと舌先で転がして、再び強く吸う。
カイはその快感を感じる度に誉の手を握ることで何とか耐えようとする。が、同時に一番感じる鬼頭の少し下を指で抑えながら先端をちゅくちゅくと弄られてしまうともうたまらない。
聞いたこともないような声が鼻から抜けて出ていく。手からは力が抜け、誉の手も離しかけたが、許さないとばかりに強く握り返され引き止められた。
「あっあ、や、ほまれ、いやだ、それ」
「カイのやだは、気持ちいいってことなんだよね。見て、お腹ぎゅって凹んでる。可愛い」
ふっふっとカイの息が上がっていく。
誉はその胸の音を一度確認した後、今度は反対側の胸に吸い付いた。
先ほどと同じ様に刺激してやると、カイの腰が跳ねる。ピクピクとその太ももが震えているし、下腹も力が入ったかと思えば弛緩するのを繰り返していた。ペニスの先端からもコポコポとカウパーが溢れ始めている。絶頂が近そうだが、しかし。
「カイ、まだだめだよ」
「……ッ、誉、やあっ」
誉はそう言うと、カイのペニスの根本をぎゅっと握った。急に且つ無理矢理熱を封じられたカイは足をばたつかせて抵抗する。
それをものともせずに抑え込んだ誉は、今度はその舌を胸、小刻みに痙攣しているへそのあたりへと下げていく。
そしてとうとうカイのペニスにちゅっとキスをするとそのままパクリと全部を口に入れてしまった。
「誉、やだ、こわい、こわいぃ」
急所でもあるそこを完全に捕らえられた恐怖から、カイはべそべそに泣き始める。
誉の頭を掴んで揺らそうとするが、全く動かない。
無駄な抵抗だと悟ったカイはひくっと喉を鳴らして、一度冷静に見下ろす。
すると誉が見せつける様にカイのペニスを口内から出した後、その膨らんで真っ赤になった先端を大げさに舐めた。そして先端から溢れるカウパー液をちゅっと吸い、
「カイの、甘くてすごくおいしい…」
と、噛みしめる様に言った。
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