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特別編 ホワイトデー(ちょっと未来の話)
※ちょっと未来のお話なので同棲してます
※バレンタインの続きです
誉がベッドに戻ると、カイは直ぐにくっついてきた。フンフンと胸のあたりの匂いをかいで、ふんにゃりと笑む。
少しずつ覚醒し始めてきているようだが、瞳は閉じたままだ。するとカイが少しだけ首をもたげてふわふわと揺らす。
何かと思い誉が顔を近づけてやると、両手で頬を覆われた。そしてそのままカイは誉の唇を探し当て、はむっと食む。そしてもぐもぐと口を動かしながら甘噛みしたかと思うと、そのままベッドに滑り落ちた。
成る程、お姫さまはキスをご所望か。
誉はクスクスと笑いながら、薄く開いたモチモチの唇にキスを落とす。
舌を割り入れると小さなカイのそれが応えてくれたので、そのままキスは深くなる。
「ん゙っ、ふ……ぁええ?」
息苦しさでようやく覚醒しきったカイが驚いたように声を上げ、パタパタと足を振った。
しかし誉はそんなこと気にする様子もなく、更に深層まで舌を差し入れ、貪るキスをする。
「んぐ、んん…」
コクンとカイの喉が上下した。
流れ込んできた誉の唾液が喉を落ちていく。
「んーーーーーっ、も、いいかげんにしろっ」
とうとうカイは我慢できなくなってそう叫ぶと、誉の胸を押し返した。
「カイから誘ってきたのに…」
唇をようやく離した誉は頭をかきながら名残惜しそうに言う。
「寝起きから濃厚過ぎんの、お前のキスは!」
「嫌いじゃないくせにー、ちょっと勃ってるくせにー…あ、ちょっとじゃないね、ガン勃ちだね。感じちゃった?」
「さわるなっ」
カイはすっかりへそを曲げ、反対側の壁際に転がり誉に背を向けて布団に包まる。
誉はそれを温かい気持ちで見守りながら、小さな背中を撫でた。
「カイくん、今日は特別な朝ご飯を用意したよ。ご機嫌直して」
「とくべつ?何で?」
「相変わらず行事に疎いね君は。
今日はホワイトデーでしょ」
「あ、あのホワイトデーか」
「他にどのホワイトデーがあるの…」
「てか、今何時?あっ、もう十時じゃん、寝坊じゃん。学校遅れるっ。てか、お前何でいんの?仕事は?」
「今日は君は自主休講。俺はオフ。
バレンタインの時言ったでしょ。
君みたいな子ウサギが今日みたいな浮かれた空気の中に居たら危ないから、ホワイトデーは二人で過ごそうねって」
「子ウサギ云々は知らないけど、二人でのくだりは確かに言ってた。でもオレはウンとは言ってねえし」
「えっ、カイ、俺とホワイトデー二人で過ごしたくないの?あんなに熱烈なラブコールをバレンタインにしてくれたのに、たった一ヶ月で俺のこと嫌いになっちゃったの?」
「過ごしたいし!してねえし!ただチョコやっただけだし!嫌いになってねえし!」
「そっか、良かった」
思わずムキになって否定し続けてしまった事で、ほぼ誉の思う通りの解答が出来上がってしまったことにカイは後から気付いたが、もう時すでに遅しである。
誉はにっこり微笑んで、
「今日は一日かけてバレンタインにカイからもらった愛を何倍にもして返すからね」
と、カイをぎゅっと抱きしめた。
「じゃ、早速」
「は?」
「はい、カイくん。脱ぎ脱ぎしようね〜」
「は??」
あっという間に身ぐるみ剥がされるカイだ。
「え、今から?」
「うーん、本当はするつもり無かったんだけど…。ま、君が悪いよね、可愛すぎるから」
「オレ、何もしてな、ムグッ」
有無を言わせずキスを落とされる。
それは強引だが、優しいキスだ。
頭の中がクラクラするのを感じながら、カイは目を細めた。
こんな風にされるともうダメだ。
体が誉を拒めない。
勝手に期待して、勝手に反応し始めてしまう。
「ほま、も…っ」
「ふふ、カイも満更でもない感じ」
「うう…お前のせいだ」
「そうだね、俺がエッチな体に育てたせいだね」
誉はそう言うと、本当に嬉しそうな顔をしながらカイの腹を撫で、
「控えめに言って、最高」
そう言うと、にんまりと笑む。
特別な朝ご飯とやらは、どうやら特別な昼ご飯になりそうだ。いずれにせよ、今日は休むと決めたのなら、どの道時間はいくらでもある。
実はここ半月ほど、誉は仕事が忙しいのか疲れている様で、機嫌もあまり良くない日が続いていた。特にここ一週間はピークで、夜勤の誉が帰ってくると同時にカイが出て行く、そんなすれ違い生活だった。
勿論そんな中でも、誉の振る舞いは変わらず優しいものだったが、長く彼と一緒に過ごしてきているカイは肌感でそれを察していた。また、それがわかっていて何も出来ないことをもどかしくも思っていたのだ。
だから、こうやって久しぶりにご機嫌な誉が見れてカイは嬉しかった。こうやって二人で過ごす時間を取ることで彼が少しでも癒やされるなら、ホワイトデーにかこつけて、今日はその思う通り付き合ってやるのも吝かではない。
だから、
「そーだよ、お前が悪い」
カイはそう返して、ぎゅっと誉を抱きしめる。
それからカイ誉の大きな手を自分の薄い胸に当てる。素直な気持ちを言うのは照れくさかったので、
「責任取って、うんと気持ちよくしてよ」
と、いつもの憎まれ口で煽ってみた。
誉は一瞬眉を上げ、それからクスリと笑い、
「仰せのままに、お姫さま」
と、嬉しそうにカイの額にキスをした。
それから鼻の頭、唇、首筋、胸。
ちゅっちゅと音を立てながら誉のキスが降りてくる。ピンク色の乳首は特に誉のお気に入りなので、念入りに愛撫される。
長く時間を掛けてじっくり躾けられたカイの体は、それだけで達してしまいそうになる。
それは流石に癪なのでぐっと耐えているのに、誉はそらを察してなのか、更に責め立ててくる。
やばい、きもちい…っ。
一週間すれ違い生活だったので、セックスも一週間ぶりだ。そのせいも相まって、信じられない位体が悦んでいる。誉を欲しているのが自分でも分かる。
駄目だ、我慢できない。
そう思った瞬間、体が大きく震えた。
「ふふ、可愛い」
腹に放出された精液を指先で撫でながら誉がウットリと言う。
それから、へたれたカイのピンク色のペニスの先っぽをぬるぬると擦った。
「んっ、やめ…っ」
「またすぐ固くなった。精液も濃いね。
ちゃんと一週間、我慢したんだ。お利口さんだね」
「なっ」
「カイはエッチだから、何回か自分で処理しちゃったかなって心配してたんだけど……」
「エッチなのは誉だろっ。
それに、オレは自分でなんかしないよ。
きもちくないもん」
「もしかして、俺にしてもらわないとイけないってこと?」
「……あー……うん、まぁ、そう」
「あーー、もうヤダ、可愛い、しんどい、大好き」
すると誉は突然、カイをぎゅっと抱きしめ直して更に頬ずりまでする。
「ちょ、誉?」
「もう一週間、生活が完全にすれ違っちゃったでしょ。 まだ帰ったら寝てるとかならいいんだけど、そもそもいないから……ホント辛かった。
辛すぎて大学までカイを見に行ったら教授に捕まるし……」
「えっ、学校来てたのかよ」
「カイに会いたかったんだよ……」
「お前、大丈夫か?」
「後半は大分駄目だったね」
「言ってくれれば一日位サボったのに」
「それは流石に……いや、次からそうしてもらおうかな……って、何笑ってるの」
「いや、うん。何でもない」
これまで、他人から求められる事が少なかった人生だ。誉がそうやって自分を求めてくれるのが、カイは素直に嬉しかった。
だから、普段恥ずかしくてあまり言えない言葉をきちんと彼に言おうと思った。
いや、言いたいと思った。
「なー、誉」
「なあに?」
カイは誉の頬にちゅっとキスをした後、その耳元で囁く。
「愛してるよ」
誉は心底驚いた顔をした後、くしゃりと笑う。
そして、その真っ赤な頬に自分のそれを重ねると、
「俺もだよ。誰よりも君を愛してる」
そう言って、強く抱きしめてくれたのだった。
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