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44.航の受難④

満がゆっくり動くたびに、はしたない水音が響いた。 「ちゃんと見て下さい」 満はそう言うと、航からスマートフォンを取り上げる。 航はゴクリと唾液を飲み込んで、その方を恐る恐る見た。 満のペニスが半分ほど自分の孔にずっぽり収まっている。そして、満がそれを少し引くと、コポコポとローションが溢れた。 「こんなに愛液を漏らして、いやらしい孔ですね」 航は下唇を噛んだまま頬を真っ赤にし、満を睨む。すると彼は軽く肩を竦めた後、再び腰を進めた。 「……んッ」 そしてそれがある一点に触れた瞬間、航はそう声を上げてしまう。思わず自らの手で口を塞いだが、満がそれを何度も繰り返すので、とうとう耐えきれなくなる。 「うぁ、あ、そこ、いやだ」 「気持ちいいの間違いでしょ? 貴方ここ好きですよね」 「うあ、やだ、や、ア!」 「前立腺は性感帯ですけど、初めてでこんなに感じることは珍しいんですよ。 貴方、自慰の時、ここ使ってませんか?」 「んなっ、つかうわけ、んんっ」 「おや、もう射精」 「あ……やだ、まだ、動かな…っ!」 航がまだ吐精中だというのに、満は容赦なく腰を打ち付ける。するとお漏らしのように精子を撒き散らしながら、航は痙攣し達し続けた。 満は満足げにその様子を撮影しつつ、上唇をぺろりと舐める。とうとう泣き出した航の顔を見ると、より興奮が増していく。 あの誰もが認め、羨望する完璧な御曹司が、自分に組み敷かれて子どものように泣いている。 こんなに愉しいことは他にない。 「もう、イくのやだ、やだ…」 航は泣きながらうわ言のように繰り返す。 そのペニスは、満が前立腺を擦る度に吐精し続けた。殆ど水の様だが、それでも止まらない。 「んー、でも私まだイってないですし。 貴方だけ気持ちよくなって終わりはズルくないですか」 航の喉がひくっとなる。 恐れ慄いた顔で満を見ている。 「じゃあ、こうしましょう」 「…!?」 すると満は航を脇を持ち抱き上げる。 「んっ」 突然太いものが抜けて、航は背筋をぞわつかせながらまたイった。 「ここ、跨いで立って。そう…」 そして航の両手を自分の肩に降ろさせ、膝立ちをさせる。丁度乳首が顔のところに来たので、べろりと舐めると、また彼はビクンと震えた。 そのまま乳首を舌先で転がしながら、後孔にペニスを押し当てる。その瞬間カリッと乳首を噛むと、航の腰が砕け、 「あっあ、ひっ」 そのまま満のペニスが胎内に挿入ってしまう。 「うぁ、いた…うう…」 航はへたりこんだままガクガクと震えた。 いきなり奥まで突かれた衝撃と痛みで目の前がチカチカする。 「おく、しないって…」 「貴方がいきなり腰を落とすからですよ」 「うう…いたい、ぐすっ」 「全く、貴方がこんなに泣き虫だとは思いませんでした」 満はため息交じりにそう言うと、航の頭をよしよしと撫でてやる。 最早その理性の糸などとっくに切れているようで、ワンワンと泣いている。 だから満は、尻を掴み、ゆっくり上げてやった。 「ん…っ」 そうやって再び航の気持ちいい一点をこすってやる。すると航はまた甘い声が漏れ始める。 一緒に乳首も舐めてやると、ぎゅっぎゅとアナルを締めながら腰を揺らした。 いつの間にか手を離しても、航の腰は動き自ら前立腺を刺激し続けている。 激しい吐精を続けていたペニスは萎えきり、透明な液をトロトロと垂らすのみとなった。 流石テニスで鍛えているだけのことはある。 航の足腰と体力は素晴らしい。 全く衰えることなく快感を貪る航を、目を細めながら満は見守っている。 「あ、あ…」 満の肩に置かれていた航の手に力がこもった。 そして一瞬動きが止まると、またビクビクっと体が震えた。 「はあ、あ、やめ」 満はそれでも休むことを許さず、また航の尻を掴み上下させる。 「うぁ、ああ…」 とうとう上半身が保てなくなって、航は満に抱きつく形でもたれかかった。 しかし、それでも健気に腰を動かし続けている。 「あー…」 「全く、また自分だけ気持ちよくなって。 淫乱な若さまですね」 「はやく」 「ん?」 「はやく、イけよお…っ」 「こんなに下手くそではイけませんよ」 そう冷たく言い放つと、航はまたメソメソと泣き始めた。 「知らないんだよ、わかんないんだ。 だったら、教えてよ。たくさん練習する、から」 「ん?」 「頑張るから……俺、練習するから。 ちゃんとできるようになるから。 ちゃんとすぐに、うまくできるように頑張るから、怒んないで」 その言葉から、満は何となく航の全てを察してしまった。 恐らく彼は天才ではないし、器用なタイプでもない。 きっと今見えている全てにおいて完璧な彼は、気が遠くなるほど積み重ねてきたその努力の延長線上にあるのだ。 本来の彼はとても泣き虫で、まわりから失望されるのが怖くてたまらない臆病な子供のままなのかもしれない。 「若さま」 満は涙する航に優しく言う。 「いいえ、泣き虫さん。わかりました」 その頬の涙を拭うと、航は満を見た。 震えるその唇にキスをして、満はまた彼の一点を責め立てる。 「う、うう」 航が苦しそうにまた腹を痙攣させ、声を上げる。 「ちゃんと躾けてあげます」 そして満は航の腹をぐっと押す。 航はその痛みに身を震わせる。 「私の形、体温、気持ちいいところ、全部覚えて下さい。そして貴方は私専用の最高の奴隷さんになるんです。わかりましたね?」 航は眉を寄せながら、満の顔を見た。 なかなか頷かないので、もう一度腹を強く押すと、コクコクと頷く。 「ちゃんと言って」 満がそう急かしてまた腹を軽く押すと、 「ちゃんと、覚える…っ、満の奴隷になる、から、そこ押さないで、痛いのは嫌だ…」 と、震えながら答えた。 それをしっかり録画した満は目を細め口元を緩めながらそんな航にキスをして、改めて腰を掴む。 そして腰をゆらゆらと揺らし、航が再び甘い声を漏らし始めた頃、 「ちゃんと締めて」 満はそう教えてやる。 「中が引っかかる感じ、わかりますか?」 航はスンと鼻を啜った後、首を傾げる。 なので、今度はゆっくり同じように突いてもう一度尋ねる。 「このタイミング。わかる?」 今度はコクンと頷いた。 「そう、上手です。気持ちいいですよ」 その言葉に、航が安堵したように息を吐く。 少しずつその速度を早めるが、きちんと航はついてきた。ぷくりと膨れた前立腺をカリで擦るたび、内壁が締まり良い感じに吸い付くのがとても気持ち良い。 それは航も同じ様で、下腹が凸凹し始める。 「うう、んん」 抜挿の速度を上げると、航がそう声を上げて満の体にもたれながら、その体をぎゅうと抱きしめてきた。 「気持ちいいですか?」 満もまた抱きしめ返しながらそう問うと、存外素直に航は頷いた。 「ちゃんと言って」 「んん、きもちい…」 「どこが気持ちいいの?」 「あ、…ぅ」 「どこ?若さま、答えて」 「うう…っ」 「答えないと、奥、しますよ」 「ひっ、や、やだ、こたえる。 こたえるから、奥はいやだ…っ、あっ」 煮えきらない航の乳首を満は人差し指と中指で挟んでぎゅうっと引っ張った。 瞬間、アナルが思い切り締まり、航はのけぞって喉を震わせている。 ペニスから残滓のような精子が放出された。 それを腹で受け止め、内股の筋をぴくぴくさせながら、航はやっと答える。 「尻の中、満のがこすってるとこ」 「前立腺ね」 「前立腺、気持ちいい」 「もっとしてほしい?」 「ん、ほしい、前立腺、もっとこすってほし」 「擦ってください、でしょ」 「うう、擦ってください」 「よくできました」 満は満足げにそう言って航の汗ばんだ額を撫で、改めて組み敷いた。 尻を持ち上げ、前立腺に向かい自身を思い切り打ち付ける。 「あぁ、やあ、むり、むりぃ」 敏感なそこを思い切り硬いペニスで押しつぶされて、航は身を捩って暴れた。しかし満は動かない。わがままな手をひねり上げ、更に腰を打ち付ける。 「みつる、だめ、くる。くる、こわい、こわいぃ」 「声が大きいな、君は」 「らって、ふぁ、やだぁ」 しかし、泣きじゃくりながらもちゃんと言いつけ通り中を締めようと努力しているところが、満は愛しくてたまらない。 「ん、んん」 泣きじゃくる航の額にキスを落とし、 「若さま、出しますよ」 満はそう囁いた。航はカッと目を開いて、 「中で出すのやだ、出さないでっ」 と訴えたが、勿論聞いてもらえるはずもない。 最後に3度強く腰を押し付けられた後、ドクンと中で硬いものが弾けた後、じわりと中で熱いものが広がっていく、独特な感覚。 「あぁ、あ…奥、あつい…あー…」 更にその熱が腹の方へと流れ落ちいくのを感じた瞬間、航もまたぶるりと体を震わせ、幼子のように満を抱に抱きついたまま達した。 満は全てを航の中に排出すると、そっとペニスを引き抜き、尻を下ろしてやる。 ごぽっと音を立てて精液が逆流してきた。 それを指先で掬い取り中に戻してやりながら、放心状態の航を見下ろす。 体液でグチャグチャの顔と体。 男の欲が流れ落ちる後孔と、ひっくり返ったカエルのように開かれた足が無様な姿だった。 いつものあの輝きとは似ても似つかない、場末の娼夫のようだ。 満はそれを上から下まで舐めるように撮影する。 これは自分だけが知っている御曹司さまの痴態だ。そう思うと嬉しくてたまらなかった。 「これからもよろしくお願いしますね、若さま」 その言葉に青ざめる航のその表情こそ愛おしく、満はそのひきつる頬をゆっくりと撫でた。

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