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50.如月邸 お泊まり⑤

「カイくん、うっとりしてるところ申し訳ないのだけれど」 「んー」 乳首で、という枕詞はつくものの2回も達して沢山キスをもらったカイはうっとりと気持ちよさそうにしている。 「俺も気持ちよくしてもらいたいんですけど」 「うーん」 「聞いてる?」 「うーん」 「眠くなってるでしょ」 「うーん」 これはまずい、ウンしか言わなくなってしまった。相当眠そうだ。 誉はカイの体を起こしてペチペチと頬を叩く。 するとカイは、くあっと欠伸をしてその瞼を開いた。赤い瞳が誉を映す。それから少し首を傾げながら考えた後、自分の口を指さしてあーんと開いた。 「お口でしてくれるの?」 「ん…」 カイはぼんやりした様子のまま頷いてしゃがむと、誉のペニスをするすると撫でた。そして、れろりと鬼頭に舌を這わせた。キャンディーを舐めるように舌を広く使いそこを舐めながら、根本をぬるぬると擦る。上目遣いで誉を見上げる。視線が交わると、鬼頭を食んだ。 舌先で先端をちろちろ舐めながら、頭を揺らし口内で鬼頭全体をしごく。 誉が反応すると、嬉しそうに目を細める。 前回誉がカイにしてやったのと非常に似た愛撫だ。誉は、カイが自分が気持ちよかったことをしてくれているのだと気づいて愛しさが増す。 よしよしと頭を撫でると、カイは更に誉を喉奥へと導いた。 「んんう…」 半分ほど挿入ればカイの喉はいっぱいになる。 ぎゅっと喉が絞まった。その感覚がとても心地よく、何よりも煽情的だ。 そのせいで、誉はズクンとペニスが疼いて更に大きく固くなってしまった。 「んっ」 途端カイが眉を寄せて誉の太ももをタンタンと叩く。 「カイがあんまり可愛いから大きくなっちゃった」 そう優しく言う割に誉はグイグイ腰を推し進めていく。 「んぶっ、んっん」 「カイ、凄く気持ちいい。 すぐ終わらせるから、もう少し我慢ね」 「んっ」 その小さな喉で先っぽを扱くとたまらない。 喉の奥から粘度の高い体液が込み上がってきて更にぬめりが増す。カイがえづく喉の動きがより気持ちよく、様子を見て更に奥まで押し込んだ。 「カイ、出すよ。飲んで」 「んーーーっ!」 カイの喉に直接誉射精する。 半分ほどを喉に、残りをゆっくり引き抜きながら口内に出してやると、カイはえづきながら噎せる。 「残りも吸って」 萎え始めたペニスを唇に押しあてると、言われたとおりにカイは先端をちゅっちゅと吸う。 「はあ、はあ…」 そして残滓を全て吸い取ると、カイは尻を床についてへたりと座り込んだ。 誉が親指で下唇をなぞると、またあーんと口を開けて中を見せてくれる。 唾液と混ざった精液が僅かに泡立っていてとてもいやらしい。 指先を口内に挿入し、舌の上のそれをグチュグチュと混ぜた後、 「よくできました」 そしてそう言って慈しむように額にキスをしてやると、カイはコクンとそれを飲み込んだ。 そしてまた口を開いて空っぽになった口の中を見せてくれる。 誉はそれが愛しくて愛しくてたまらない。 「なんかさ…」 するとカイは目をこすりながら誉にくっつく。 誉はべとべとになった顎や胸のあたりを優しく拭い、シャワーで流してやった。 誉の手が胸のあたりに触れる度、カイはくすぐったそうに肩を竦めながら、 「オレ、頭がおかしくなったかもしれない……」 と続ける。 「どうしたの、急に」 「だってさ、ちんちん舐めるとかありえないじゃん。なのに、きもちくなっちゃうんだよ」 その言葉に、誉は眉を上げる。 「へえ、気持ちいいんだ?」 「うん…。 ここがピリピリして、きもちくなって、頭ぼんやりする」 カイは舌をだして、先端のあたりを指さしながら言う。 「恋人のキスしてる時みたいな感じ」 「そっか〜」 誉はカイの体をよく流し、浴槽に入るよう促した。 自分も中に入ると、こんなに広いのにカイが当たり前のように膝に乗ってくるのがとても可愛らしい。 ゆったり足を伸ばしながら二人は話を続ける。 「カイ、俺のこと大好きでしょ」 「そ、そんなこと」 あるけど、と、続いた言葉はとても小さな声だった。相変わらず照れ屋さんだ。 「大好きな人となら、一つになったら気持ちよくなっちゃうものなんだよ」 「ひとつ…」 「キスもそう、ここをお口でするのもそう。 二人で一つになるってことでしょ。 別に君が頭おかしいわけではなくて、普通のことだよ」 「……」 「ちなみにセックスはもっと気持ちいいよ」 「せっ」 カイは顔を真っ赤にして俯いた。 「興味湧いた?」 「ん………ちょっとだけ」 ここまで快楽だけを徹底的に体に叩き込んだ効果か。好奇心が恐怖に勝ち始めている。 誉はまさに作戦通りだとにんまり笑むと、カイを後ろからぎゅっと抱きしめた。 「俺もカイのこと大好きだよ。 今日、泊まってほしいって瀬戸さんに言ってくれたのも凄く嬉しかった。 俺も君と一緒にいたかったから」 カイが顔を上げ、振り返る。 「誉も言ってくれたら良かったのに」 「大人の事情ってやつです」 ふくっと膨れたカイの頬をつつき、誉は苦笑いをする。この子は誉の立場も自分の身分も全く理解していないようだった。 「前みたいに誉がウチに住めばいいんだ」 ふくれっ面のままカイが呟く。 「逆に、カイが俺の家に住むって手もあるんだけどね」 「えっ?」 カイは赤い瞳をまん丸にして誉を見やる。 「オレが、誉んちに?」 どうやらその発想は無かったようだ。 それもそうか、彼は家に縛られた子供だ。自分がそこから出るなんて考えたこともないのだろう。 そこから少しカイは考え込んで、それから頷いた。 「そっちのほうが、いいかも。 誉んちなら、タバコ吸えるし、爺さんも父さんも来ないし、いいかも」 「待って待って、タバコは禁止するよ」 「えー」 「当たり前でしょ。タバコ吸わせるくらいなら、こうするよ」 そして誉は振り返るカイの唇をちゅっと吸う。 カイはひゅんと肩を竦め、それから恥ずかしそうに唇を腕で拭った。 「でも、もしカイがウチに来たらいっぱい可愛がっちゃうな。カイが好きなご飯作って、こうやってお膝で食べさせて、ぎゅーってして寝るんだ。 気持ちいいことも沢山しちゃうだろうな」 「きもちいことっ」 「好きでしょ」 「…………好きだけど、恥ずかしいから沢山はやだ」 「じゃ、恥ずかしくなくなるくらいしよっか」 「もー」 じとっとした目で見ながらもカイは満更でもないのか、前を向いてグリグリと後頭部を誉の胸に押し付けてきた。 それでカイの気持ちのスイッチが入ったことを確信し、誉は続ける。 「じゃぁ、一緒に住めるようにお互い準備を始めようか」 「準備?」 「そう。俺はちゃんとお医者さんになって、君と住める大きな部屋を用意するね」 「今の誉んちでもいいけど」 「大きなキッチンが欲しいなあ。あとお風呂も。 二人でゆっくり入りたいし」 「お風呂……は、そうかも」 「でしょ〜。 だからカイも、ちゃんと自立するんだよ。お父さん、お母さん、それから航にちゃんと一人で家を出しても大丈夫って思われないと、許してもらえないからね」 「自立…」 「そう、まずはきちんとご飯を食べて体力をつけることかな」 「うーん……」 これでいてカイは真面目なので、適切に目標設定さえしてやればそれに向けて頑張ってくれる筈だ。 誉は俯いて思慮する可愛いカイの白い項にキスをする。 するとカイはその耳を赤くしながら自分を抱く誉の腕をぎゅっと抱きしめ返して答えてくれた、 「わかった、がんばる」 「よしよし、お利口さんだ」 だから誉はそう返し、幼い恋人をもう一度抱きしめた。

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