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69.週末レッスン⑤
航は目を細めながら、恐る恐る下の方に視線を落とす。すると満のペニスが自分の孔に根本まで入っているのが見えてしまって、怖くなってその目を閉じた。
「ちゃんと見て」
それを察した満が命じる。
航は再び目を開いた。同時に満は航の尻を持ち上げて、結合部がよく見えるようにした後、一気に腰を打ち付けた。
「うぁ、あっ」
航の視界が白けて、端っこの方でチカチカと火花が舞う。
「おく、おく、やっ」
じゅぼじゅぼとはしたない音が室内に響く。
満のペニスが抜かれるたび、孔の縁が捲り上がって赤く充血しているのが見える。
航はそれが恥ずかしくてたまらなくて、直視できずにまた目を閉じる。
次の瞬間、また一番奥までペニスを打ち付けられた。
ズンとした腹まで響く鈍痛の後、そこがカッと熱くなる。その独特の感覚に航は身を震わせた。
「やあ、あ、うう……」
何度も同じ様に突かれて、航はとうとうべそをかき始める。
熱いのはともかく、痛みはどうしても受け入れられない。
「全く、上のお口はいつもイヤイヤですね。
下のお口は早くちょうだいってパクパクしてるのに。ホラ」
「うあ、やめ……痛い、痛い!」
「もう少し奥に入れますよ、頑張って」
「嘘、もうはいんな、無理、むりぃ」
「大丈夫、入ります」
抉られるような痛みと共に、結腸を越えて腹の中まで満のペニスが挿入ってくる。
ぐずぐずに泣きながらも、航はそれを受け入れるしかない。
満の腰の動きと連携し、航が吐精する。
びちゃびちゃと顔にかかる自分の精液を拭う余裕もなく、航は頭を抱えてその刺激に耐えた。
「あ"ッッ!」
そして次の瞬間、ぶわっと腹の中に熱が広がる。
「……っ」
思わず満も眉を寄せ、息を吐く。
そしてまるで精液ごと満のペニスを取り込もうとするかのように航の外壁は蠢き、ぎゅーっと締まる。満は抜くことを諦めて、そのまま更に腰を打ち付けた。
「動くのやだ、奥やだ、やだ……」
「イヤイヤしている割にずっと射精してますよ。気持ちいいんでしょ?」
「きもちく、ない…っ」
「本当に?嘘つくと、痛くしますよ」
「………気持ちいい、かもしれない」
「でしょうね」
「あっ、あん」
「可愛い声。もっと聞かせて」
満は満足気に口の端を引き上げた。
そして最後に最奥まで腰を打ち付け、一緒に射精しきった航の身体が弛緩したのを確認すると、ペニスをゆっくり抜いていく。
「若さま、ちゃんと見てください」
ずるりと航の孔から満のペニスが抜けた瞬間、追うようにその肉が捲れ上がった。そして精液が孔から溢れ出る。
「若さまのココ、もうすっかり可愛いメス孔ですね」
「うう……」
航はカッと顔を赤らめ、下唇を噛み唸る。
降ろされた尻から精液が更に溢れた。
その感覚に背筋がゾワゾワする。
「ま、まだやんの……?」
「今7時、あと一回くらいいけるかな」
「……テニス出来る?」
「逆にまだテニスするつもりだったんですか?」
「だって満とテニスしたいもん……」
「したいもん、て、また可愛らしい物言いだこと。貴方、ベッドの上だと精神年齢がかなり下がりますよね。それともそっちが素なんですか?まあどちらでもいいんですけど、凄く興奮します」
「えっ、あ、ちょっ。まだいれな……」
「ふふ、中、痙攣してますね」
「やあ、あっ、あん」
航の孔は何の抵抗もなくすんなりと二度目のペニスを受け入れる。揺さぶると、腰が浮いて背中がピンと張った。
満はそんな航の唇にキスを落とすと、舌を挿し入れる。舌同士が触れた瞬間、航の中はぎゅっと締まり、それを絡め合うと弛緩する。
「あ、みつる、おっきい、おおきいよお」
キスの合間、航はうわ言のように言い始める。
満が腰の動きに合わせて下腹を押すと航が身を捩ったが、許さないとばかりに強く押す。
「おなかだめ、いたいよ…。
やだ、かたくしないで、いや、しぬ」
「気持ちいいでしょ?」
「しぬ、しんじゃう」
先程の余韻で敏感になっている航は、あまりの快楽に気が動転し始めたようだ。
「では、死なれては困るので、死なない程度にしましょうか」
それが満の嗜虐心を煽った。
今度はわざと航のいいところを外して突く。
「鳥肌凄いですね。そんなに気持ちいい?」
「全然きもちくない、し!」
「そうですか。じゃあ、声も我慢できますね」
「へ?」
満はそう言うと、突然スマートフォンを取り出した。
「何して、って、腹を押すな、よお」
起き上がろうとする航の腹を押さえつけながら、今度はそれを耳に当てる。
航は目を疑った。
電話、してる?
こんな状況で?!
「こんばんは」
航の焦燥を横目に、満が会話をし始めた。
同時に、また腰を打ち付けられる。
それが一番弱い前立腺を擦ったから、航は思わず大きな声が出た。しかし、
「おや、櫂。今日は随分ご機嫌ですね」
という、満の次の言葉に慄いてその口を自ら両手で覆った。
「え?声を聞けばわかります。
何かいいことでもありましたか?
ああ、誉と一緒なのですね。なら、丁度いいです」
「ッッッ!」
満は電話をしたまま航にまた腰を打ち付ける。
どこが死なない程度だ、全力で抉ってきているではないか。
とはいえ、満の電話先が弟なのだとしたらこんな声を聞かれる訳にはいかない。
航は必死に口を抑えながら、満の攻めに耐える。
一方で満はそんな航のことなんてどこ吹く風で会話を続ける。
「櫂が大好きなペンギンさんに会えるチケットが手に入ったんです。
なので、明日みんなで水族館に行きませんか?
……おや、誉」
「ン!」
このタイミングで、満は航の前立腺に狙いを定めたようだ。ぐにゅぐにゅと先っぽでそこを集中して擦ってくる。航は目を白黒させながら、しかし声だけは出さぬように必死に口を結ぶ。
「ふ、ふは……」
それでも抑えきれない吐息が漏れてしまうのを見下ろして、満はふふっと笑んだ。
満と誉の会話は続いているようだが、航はそれに聞き耳を立てる余裕はない。
尻の中が熱くて、気持ちよくてたまらない。
そして慣らされた最奥が蠢きながら痙攣しているのを自覚する。
奥に欲しい、けれどそんなこと恥ずかしくてとても言えない。素直になれない口とは裏腹に、腰がそれを求めてヘコヘコと勝手に動いてしまう。
その時、ピタッと満の動きが止まった。
「へっ?」
拍子抜けして思わずその顔を見上げると、彼は目を細め航を見た。それから、
「ちなみに、如月くんも来ますよ」
と、電話口の相手に告げる。
「えっ、俺も、明日?聞いてな……あっ」
また満が動き始めた。
今度は前立腺ではなく確実に奥を狙っている。
ずんずんと突き上げられるそれは、航が欲しかったやつだ。最奥ら歓喜して開き、満のペニスを受け入れる準備を始める。
「ああ、やあ、あ……んぐ!」
抑えることも忘れてて声を上げると、満が急に鼻と口を大きな手で塞いできた。
「んーーーーっ」
航は直ぐに苦しくなって、満の手首を掴む。
けれどもそれはビクともしない。
「声が大きいんですよ、貴方」
満はそう言うと、更にその手に力を込めた。
酸欠で目の前が白けてくる。それなのに、下半身から広がる快感は強くなるばかりだ。
「ん、んん、は…っ」
くぐもった喘ぎ声をこぼしながら、航は快楽に必死に堪える。
やば、飛びそう。
そして意識が遠のきそうになったその瞬間、ぐんと満のペニスが最奥を犯した。
痛みの後に快感が突き抜ける。
びくんと腰が張って、尻が僅かにベッドから浮く。その間に満は更に三度航を強く穿った。
飛びかけた航の意識は、腹の中が再び熱い体液で満たされる快感により、かろうじて保った。
すっと満の手が口から離れていく。
ついつい一気に酸素を肺に取り込んで、航は咳き込んだ。
その上で満はまだ会話を続けている。
ようやく航の呼吸が整いかけた頃、満がそれを見下ろしにやりと笑みながら言った。
「猫?ああ、そうですね。
発情期なのか、ずっと鳴いてるんです」
満は電話を切るとそれを横に投げ出して、改めて航を見る。ようやく呼吸が整った彼は、同じように満を見上げた。
ずるりと胎内からペニスを引き抜くと、航はふうっと深く息を吐いた。
「なあ」
そして航は離れていく満に向かい、声をかけた。
そして満の返事を待たず続ける。
「テニス行く?」
「まだ本気で行くつもりなんですか」
「えっ、行かないの?」
「行けるんですか?」
「行けるけど、なんで?」
「…………」
頭を抱える満の横で、航は身軽に起き上がる。
「あ、もう半じゃん、早く行こうぜ」
「元気ですね」
「体力には自信あるって言ったじゃん」
「そうでしたね……」
「楽しみだな!」
最初の頃の悲壮感はどこに行ったのか。
慣れか、それともテニスがやりた過ぎて気にならないのか。
抱き潰して諦めさせるつもりだったのだが、ここまで体力お化けだとは思わなかった、想定外だ。
しかし自分が播いた種だ、己で回収するしかない。覚悟を決めた満が仕方なく立ち上がると、航は嬉しそうに笑み、子どものように"早く"と急かしてその腕を引っ張った。
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