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第3話 哀斗視点

先週は汐崎君にだいぶ無理をさせてもうた……。彼の血が溢れているのを見てもったいないと思ってつい、あんなことを……。 処女やったしほんまは丁寧に身体拓いてかんといかんのに汐崎君がかわえすぎてだいぶ性急に求めもうて。反省……。 「……でも、ほんまに可愛かったなぁ」 キスも初めてなんかキスしたら目を真ん丸にさせて。ディープキスしたら懸命に逃げようとしてんのにちょっと気持ちよさそうにして。 涙目で睨むのとかあかんわ、あれ。めちゃくちゃにしたなる。 時間さえあれば抱き潰したい。でも、その前にあんな痛い思いせんように汐崎君のために色々買い込んだ。 家にある玩具を使ってもええけど……。 「……俺が試したやつやしな」 ぽつり呟く。お気には買い直しもありか。汐崎君が自分に使われるなんて知らずに玩具の入った箱を運搬する。 「……勃起しかけたわ」 嫌がるんかな。照れるんかな。どっちも可愛いからあり。 がさがさとスーパーのレジ袋を揺らし俺は家に戻る足を速めた。今度謝罪してそのままヤれたらなを考えてもうて。 美味い料理を食わせたくて色々買い込んだけど、好き嫌い知らんわ。好きな子の好みとか把握したいな。 鼻歌交じりに家に戻りエレベーターで住む階に。いつも汗かいてちょっと息荒い汐崎君はエレベーター使わんのかな。会社の方針なんか自分で決めたルールか。後者やったら遠慮なくエレベーター使ってほしい。 あんなエロい姿他の人に見せたくない。 ぶんぶんとかぶりを振り邪念を振り払う。えっちな汐崎君想像したら本人が欲しくなるもん。 「……ん?」 なにやら玄関ポストに投函されている小さい紙を見つける。汐崎君から手紙? あり得ないことを想像しながらそれを取ると不在表だった。 「え。今何時?!」 スマホを取り出し時間を確認するといつもの時間は当の昔に過ぎていた。 唯一彼と会える時間。……いや、ちょっと考えるんやで俺。 不在表入ってたし再配達頼めば会えるやろ? うん、そうや。そうと決まれば電話せねば。 「……あ。えっと、不在表入っとったので連絡したんですけど。あ、啓影です」 「……会えんかった」 再配達に来たのは知らんおじさん。汐崎君の事聞くと何故か顔を青ざめ「早退です」と言うだけ言ってサインももらわず走って去っていた。 顔を青ざめた理由は分からん。でも、それよりも気になったのが早退というとこ。 体調悪いんかな。この前のでやっぱ具合悪くしてそれがまだ続いとるのかな。 もやもやとしながら申し訳なさが再度襲ってくる。会社に連絡したって汐崎君の住所とか連絡先が知れるわけでもない。 個人情報やし。でも、謝る機会が次回になってしもうたな。 お詫びに料理を作りたかったし、セフレからでもええから恋人前提に付き合いたかった。 ……なんて全部俺の我儘や。付き合いたいって思うんもお詫びしたいのも。 汐崎君はきっとそんなんより俺と離れたいと思っとる。レイプした男やし。仕事とはいえ来たくないんもんな。料理なんてもっと食いたくないやろうし。 「……それでも」 あの子は俺のや。他の誰にも渡したくない。誰かが触ろうならそんな奴許さない。 汐崎君を閉じ込めて、俺の愛でいっぱいにして、溺れさしたい。 俺以外見ないでほしい。聞くのも触れるのも俺だけでいてほしい。 「……はは、醜いな俺」 どろどろと溢れる執着心に乾いた笑いが込み上げる。 「今度会った時にまた拒絶されたら……もう、我慢せんでええよな?」 彼のために家≪檻≫を用意せんと。 街から離れてる場所に二人だけの世界≪家≫を作ろう。 想像しただけで笑みが溢れる。汐崎君はどんな顔するんやろね? まあ、どんな顔もかわええけど。 「あは、楽しみやね。ソリテ」

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