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第13話
夢を見た。夢の中で俺はバケモノでもないただの人やった。
普通に家族がいて毎日笑い学校に通っている普通の高校生。ソリテが友人としてそばにおって。そんな彼に淡い恋心を抱いている平凡な人生。
想いを伝えれば関係が壊れるのを恐れて秘めたままの醜い気持ちをひた隠してただの友人としておったけれど、ある日それは爆発した。
関係が壊れたくないと思いながらも吐露してしまったその気持ちを受け入れて欲しいと切に願った。
そうしてその願いは叶えられ秘めた恋心はソリテに受け入れられてずっと幸せに暮らせているという幸せな夢。
けど、現実はちゃう。目を覚ませば俺は人の血を吸い生き老いることも死ぬこともないバケモノ。
あんな幸せな日々はない。家族なんていない。
ソリテとあんな風に笑いあえる幸せな日常なんてもんは一生来ないと思っとる。
「……それにいつか、別れる時は来るもんな」
俺がバケモノじゃなくなる未来もソリテを人の道から外せる方法もない。永遠と彼が死んでも生き永らえソリテを恋しく思う未来 があるだけ。
どれだけ俺がソリテを好きでも彼と離れなきゃならん日は遅かれ早かれ来てまう。
それでも、ソリテを手放すという選択肢は最初からなかった。むしろなにがなんでも手放したないと思う。
嫌われたままでもええ。思いが通じ合えてなくても構わない。
ただ、好きな彼を手元に置きたい。それが罪だろうと知ったことではない。
「お前の為なら俺はなんでもできるんやで?」
この手を血に染めることもさらに罪を重ねようとも。それがソリテとの幸せに繋がるのであれば躊躇いなどしない。
ソリテが自分に堕ちたと確信したあの日からもしかしてこの先彼と笑いあえる幸せな日々が来るんじゃないかと思う。
未だ彼から好きだと言われることはなくともソリテの態度が雄弁に語っていた。目が合えば恥ずかしそうに逸らすし好きだと伝えれば照れくさそうに頷く。
それだけで何度理性を捨てたか分からない。ソファに座っていようと書斎で本を読んでいようとそんな愛らしい姿を見せられれば我慢なんて到底無理だった。
毎日のようにセックスをしてしまった。
やって、ソリテが可愛いすぎるから。
「ソリテー……? なんでそんな離れるん?」
でも、流石に無理だと感じたのかソリテは啓影から離れて身を守るようにベッドの上のクッションを線を引くようにベッドに並べその先に来るなと言うように軽く睨んでいる。
は? 可愛ええな? 襲ってええんか? いや、でも……嫌われたないしなぁ……。でも、ハグはしたいねんけど。
「……毎日はしんどい。お前は1度するとなると朝まで寝かせてくれねぇから寝不足」
「やって、ソリテが可愛ええから」
「……可愛くねぇし」
可愛いとの言葉に少し不服そうに言うソリテに構わず啓影は近付く。それに合わせて逃げようとソリテは後ずさった。
「ソリテ」
ベッドの端っこに追いやられいざ逃げる場所もなくなり観念するかと思い啓影はソリテに手を伸ばした。
「ふふ、捕まえた」
ヤラれると覚悟を決めぎゅっと目を閉じたソリテを啓影はキツく抱き締めた。悪戯が成功した子供のように笑いながら言う啓影に不思議そうにソリテは目を開けた。
「なん。したかったん?」
「は!? ちげぇし!」
期待しているような顔しとったんに? と揶揄うように頬をつつけば軽く振り払われた。
ほんのり赤く染まる頬がなんだか美味しそうに見えた。
「……ムカつく」
「え?」
ぼそりとソリテがそんなことを言ったかと思えば近付くソリテの顔。そして唇に触れるややかさついた感触。
目をぱちくりと丸め啓影は思わず自分の唇に触れた。
「仕返し」
なんて言って笑うソリテに今日はハグだけで辞めてやろうと思っていたのにと理性がちぎれる音が聞こえる。
煽ったんはソリテやからな。
あえて口にしないまま啓影はソリテをベッドに押し倒した。
「え、おい……!」
抗議の声をあげるソリテを黙らすべく啓影は深い口付けをすべく彼の口を塞いだ。
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