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第16話 ☆
夕飯を食べ終え腹も満たされさあ、風呂に入るぞと思っていたのになにやら真剣な顔の啓影に手を引かれるまま寝室へ連れ込まれたや否やソリテは両手を縛られた。
「……なんでだよ」
「なんでって、そらぁ……なぁ? 昼間煽ってきたし?」
「は? 煽ってねぇし」
いつ自分が彼を煽ったのか。全くもってソリテの記憶にはなかった。
それはそうである。啓影が煽られたと感じた行為はソリテが寝ている最中であったし夢の中の本人にそんな自覚は全くなかったのである。
しかし、燻ぶった性欲はソリテが起きてからは臨界点を超え夕食を頬張っているソリテにいつ襲い掛かろうかと思考を巡らしていた。いつもならコーヒーを飲んでいるにもかかわらず今日は飲んでいないことにソリテは少し疑問に感じただけだった。
なので啓影が襲う方法を画策中などとは当然つゆほども知らないのだ。
「まあまあ、ええやん。な?」
「なんもよくねぇって。解けよ、これ」
「やーだ。ソリテ逃げるやん、やって」
「……、逃げねぇよ」
だいぶ間を開けながら逃げないと言うも彼が逃げるつもりであるのはバレバレである。
現に視線が啓影の方を向かずさまよっているのが証拠だ。どう逃げようかと彼なりに考えているのだろう。
まあ、そんなところもまた可愛らしいのだが。どうせ逃げれないのに必死にもがく姿がさらに情欲をそそるのだときっとこの先一生知る事なんてないんだろう。
「逃げんのやったらこっち見て」
「……」
頬に手を添え顔を固定してはじぃっとソリテを見つめる。
揺れ動く視線が一瞬観念したように啓影を見つめるもすぐにそれた。
「へぇ?」
次に発せられた普段より低くなった啓影の声にあ、やべっと思ったのもつかの間。啓影が首に噛み付けば血を吸う感覚。
それと同時に熱を出したかのように身体が火照り始める。別に、吸血行為にそんな作用はないんだろうが何故か不思議と普段押し込めた性欲が首をもたげ始める。
「ぅ、や……めっ」
甘い声が思わず口から出れば違う意味でソリテは顔を赤くした。
どうしても聞きなれる声ではない普段の自分とは違う声。血を飲み終わった啓影が牙を抜く感触に身を震わした。
「かわええねぇ」
「け、いえい」
ああ、ダメだ。食われる。
いつもへらへらしていて男らしさなんてあんまり感じないのに。今の啓影の顔は男らしすぎて。
オレを、食べようとしている男の、顔だ。
後背位にすればおざなりに解したソリテの後孔に啓影は逸物を押し当て物欲しげにひくつく胎内に埋めていく。
ソリテは快楽にひどく従順で弱い。無理矢理身体を拓いたあの日から何度身体を重ねて分かったこと。それは裏を返せば染まりやすいということ。
色々仕込みたいなぁ、ほんま。もっと気持ちよくさせたいわ。
「……ソリテ」
「ぅ、あ……ッ、ん、だよ……っ」
奥を目指して突き動かしながら不意にソリテの名を呼ぶ。必死に声を押し殺しながらこちらを見ようとしながらソリテは応えてくれる。
そんな姿が愛おしく嬉しくてさらに逸物が膨れ上がるのを感じる。
ソリテの耳元に口を寄せ甘く囁く。「大好きやで」と。きゅうっと声に反応するように胎内がキツく締まる。
「ひ……ぃあ、ぁ!」
そんな可愛らしいことをされれば我慢などできない。なけなしの理性を懸命に繋ぎ留めながらもソリテの腰を掴んでは一息に奥に入れ込めば悲鳴のような甘い声がソリテの口から零れた。
もっと奥にと思いながら律動を始める。ぐちぐちとローションなどが混じる水音を響かせながら前立腺をえぐる。
「気持ちいい? ソリテ」
「ふ、ぁ、あっ! ゃ、めっ」
「ようないん?」
ならばと先程よりも激しく腰を上下に振る。するとソリテは違うと言いたいのか弱々しく頭 を振っている。
言葉を言いたいのに口を開けば喘ぐことしかできない。
「だ、め、けいえ……っ! ぁ、ア……!」
「ダメやないやろ? なぁ、ソリテ」
「ひ、ゃっ、い、く……ぁ、イッ……!」
うごめくようにまたキツく締まる中にソリテがイッたのだと知る。
前触ってないのになぁ。かぁいいなぁ。
ちゅ、ちゅっと首や背中に口付け落としながら最奥目指して動きながらソリテの逸物に触れる。
「……なん。精液出さずにイッたん?」
「ぁ、え……?」
「女の子やん、ソリテ」
啓影の言葉に快楽に蕩けきった顔から呆けた顔に変わる。
メスイキをしたのだとソリテが理解することは多分ない。何度経験しても言葉を知ることはきっとない。
啓影が教えなければ性に疎い彼が分かるわけもない。
今はただ啓影に言われた女の子だという言葉に首を横に振り否定することしかできない。
「ち、が。オレ、女じゃ、ない」
「ふぅん?」
「ま、って、やだ、今、ダメ……っ! 奥、やだ、やだ、啓影っ」
「女の子じゃないならええやんなぁ。……ほら、ソリテ。頑張って抵抗せんと。入ってまうで?」
ぐぷぐぷと開きかけた結腸口を突きながら煽る様に啓影は言う。懸命に抵抗しようと力を入れようとしているのだろう。
でも、無駄なあがきだった。
一度入口まで逸物を引き戻しては抜けそうだという場所で止まってみる。ソリテは安堵したように息を吐いているのをあざ笑う様に結腸まで一気に逸物を再び挿入した。
「ぁ"、ひ……ぃ、あァっ!」
ぷしっと勢いよく潮を吹いたことに本人は気付かない。ただ強すぎる快楽に目を回している。
ああ、かわいい。ほんまに、無知なとこも。快楽に弱いとこもすべて可愛くて愛おしい。
「ソリテは女の子やろ? 俺だけの女の子」
がつがつと貪るように腰を打ち付けながら耳元で囁く。ソリテの男としての威厳を潰すように。さらに快楽に染めるように何度も。
違うと首を横に振れば嬲る様に耳に舌を這わせ耳の中に舌を入れ愛撫する。
「ぁ、ん……ひぁ、あ……ッ」
「可愛いね、ソリテ」
「かわいく、な……ぁや、ぁっ!」
つつましく立ち上がる乳首に触れ捏ねれば愛らしく鳴く。
そうしてその都度軽く果てているのを啓影は見逃さなかった。
性の香りもなかった無垢な身体を自分好みに変える悦びに笑みを浮かべる。
「は……っ、ソリテ、中に出してええ……?」
「ぅあ、ァ、いい、いいから……っ」
いつもは聞かないことを聞いてみる。ソリテの口から余裕のない承諾を得れば笑みを深めた。
突き上げるスパンが徐々に短くなる。もう限界だった。
「く……っ、は……ぁ」
声を零しながら胎内に欲を吐き出す。マーキングするように腰を揺らしながら全て出し終えるもまだ物足りない。
ソリテを抱き足りない。
「お、まえ、出しすぎ、だろ」
「そー?」
普段より多かったのだろうか。胎内の白濁液に少しソリテは顔を顰めては無意識なのだろうか腹を撫でている。
一度萎えかけた逸物がそれを見て早く勃起すれば驚く顔をしたソリテがいる。
「な、んで。待て、無理……ぁ」
「煽ったんお前やで」
煽ってない、と喘ぎながら抗議の声を上げるソリテを黙らすべく腰を揺らした。
両手を縛っていてよかった。そうでもしないと彼はなにがなんでも逃げようとしただろうから。
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