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第24話 ☆

性急に服を脱がしもう一度逃げようとするソリテの腕を一纏めにしてベッドに縫い付けるように押し倒せば胸に舌を這わせながら乳首に甘く歯を立てる。 少しずつ抵抗が薄れれば拘束していた腕から手を離し反対側の乳首に爪を立てた。 「どっちが好き? 優しく嚙まれるんか、強く噛まれるか」 問い掛けながら右側を優しく噛み次に左を強く噛んだ。びくりと過剰に反応する彼の身体に笑みを浮かべ啓影はソリテの顔を覗いた。 どっち? と瞳で優しく問い掛けながら答えを急かすように乳首をつねり引っ張る。 「っあ、やさし、いの……っ」 「ほんまに?」 物足りないんやないん? なんて正しい答えを引き出すように再び強く噛めば耐えきれない甘い声がソリテの口から零れ落ちた。 恥ずかし気に揺れる瞳が真実を孕んでいるのに未だに理性が邪魔をしているのか本当の事を口にすることはない。 だから啓影は先程よりも強く噛み付いた。理性など弾け飛ばすように。早く本能で求めてくれと言う様に。 「ぃ、あっ、けいえっ」 痛みに震える声の裏に快楽をにじませ先程よりも膨れ上がるソリテ股座に啓影は笑みを深める。 ほら、言わんと。なんもしてやらんで? なんて言う様に噛み付いた乳首に舌を這わせ吸い付きながら顔を見つめる。 物足りなさに視線を揺らしながらもまだ戸惑いが残るのだろう。それならもうこれ以上は責めない。 胸から口を離し身体を起こせば離れようとしたとき、ソリテの手が啓影の手を掴んだ。 「……なぁに、ソリテ」 愛おしいとばかりの声音で呼びかけながらもその手を離そうとすれば離しまいと力が込められる。 「……痛く、して」 蚊の鳴くような小さな声。風が吹けば消えてしまいそうな儚いおねだり。 頬は羞恥に真っ赤に染まり瞳は潤んで気を抜けば雫が零れてきそうだ。 「よく言えました」 褒めるために額に口付け落とし手を掴む手を少し離した後恋人つなぎに変えベッドに落とした。 控えめに主張している乳首を口に含んでは軽く吸い付いた後遠慮なく噛み付いた。 「っい……ぅ……ッ」 犬歯がヒトより鋭いため出血させない程度に噛み付きながら吸い付き転がしていく。 上を見れば空いてる手で口を押え懸命に声を噛み殺しているソリテがいる。すぐにそんなの無駄だと知らされるのに。 愛らしい。可愛い。ほのかな抵抗を見せる彼がセックスという行為にいつまでも羞恥心を感じ初心さを見せる様が愛しく永遠にそのままでいてほしいなんて願ってしまう。 ……まあ、叶えてくれるやろうなソリテなら。 どれだけの快楽を教え込まれようと初心さなど抜けぬままずっといてくれる。そんな予感がする。 繋いだ手をそっと外し手を下にやっては知らぬ間に達してしまったのだろう。下着の中は精液で濡れていた。 「噛まれてイッたんや?」 「ち、がっ」 「違う? あかんよ、ソリテ。嘘は。こんなに溢れてるのに」 先走りや精液で濡れそぼる逸物に指を這わせぴちゃりとわざと音を立てる。これだけ水音が立つほどにイッたというのに何故嘘なんてつくのだろうか。 先端に爪を立てればぴゅっと残りの精液が飛び出し啓影の手を汚す。 「これでもちゃうって言うん?」 「……ッ」 「……悪い子なんやソリテは」 少しだけ声を低くすればぶんぶんと首を左右に振る。 否定をしているもののそんなの遅い。ソリテから離れ寝室のクローゼットに忍び込ませていた箱の中からローターを取りだし戻り彼にそれを見せる。 見せたこともなければ使ったこともない。でも、もっともっと彼に快感を教え込みたい。 「な、んだそれ」 「さぁ? なんやと思う?」 瞳に怯えた色を浮かべるソリテに笑いかけながらローターにローションを垂らし軽く後孔を解したあと宛がえば逃げようとソリテの腰が引かれる。 「逃げたらもっと突っ込むで」 脅すように言えば逃げることを諦めたソリテの後孔にローターを埋め込んだ。 逸物とは違う感覚に目を丸めながら馴染ませようと無意識に息を吐いている。 そんな彼を眺めながらいきなり強を選択しスイッチを入れた。 「ひ、ぃ……!?」 初めての感覚に震えやだ、と首を振っている。 手を縄でひとまとめにすればベッド柵に固定させ足を大きく開かせては少し萎えたソリテの逸物に舌を這わせた。 「ん……ぁっ、あ……!」 「ん……」 ぱくりと口に咥えれば上下に顔を動かせばあっさりとソリテの逸物は勃ち上がった。 舌を這わせ吸い付きソリテの意識がフェラに向いてる間もう1つの玩具を後孔に押し当て入れ込む。 「ま……ぁ、あっ!」 胎内で蠢くローターがバイブによりさらに奥に入り込み前立腺を容赦なく刺激することになった。 啓影のよりは小さめのバイブは簡単にソリテの中に入り上下に揺らせば悲鳴のような喘ぎ声がひっきりなしにソリテの口から零れた。 「だめ、やだ、けいえ……!」 「ん、いひほ?」 「喋んな……ぁあぁ……っ!」 勢いよく精液を吐き出しながら震えるソリテ。口内の精液を飲み込みながら口を離しバイブをさらに奥に入れると生理的な涙がソリテの瞳から溢れた。 「ぬい、て……ぁ、んっ!」 「聞こえんかった。なに?」 「ぬけ、ぁ、はやく……っ!」 「やーだ♡」 抜けだなんてそんな事言われても聞くつもりはなかった。バイブを抜き差しし時折震わせればソリテは何度もイッては潮を吹いた。 バイブから手を離ししばらく玩具本来の動きのまま放置をしてみる。ソリテは恐ろしいまでの快楽から逃れたいのか縛られた手を動かし腰を揺らしている。 けれど、その動きはどれも啓影を煽るものばかり。でも、今彼の胎内にあるのは玩具だ。 玩具を使ったのは自分からなのに、今彼を独占しているのに少しイラつく。バイブに喘ぎ果てるソリテにそんなのでいいのかなんて理不尽な言葉を投げそうになる。 「ソリテ」 「ぅ、あ……ッ」 バイブとローターの動きを止め雑に胎内から引き抜くとソリテの後孔は物足りなそうにひくついている。 そこに勃ち上がった自身の逸物を宛がい一息に挿入させた。 苦しそうに息を吐きながらも淫らに絡まるソリテの胎内に啓影は笑みを浮かべた。 「やっぱ、こっちが一番やんなぁ?」 いつもと違うプレイをと思ったものの無機物までに嫉妬するなんて思わなかった。 普段と違うソリテを見れたらなんて思っていたのに。 腰を掴み遠慮なく突き上げる。ローターで散々苛め抜かれた前立腺を突き上げながら結腸口を突く。 「ひぁ、あっ! ぁひ、けいえっ」 「気持ちええね、ソリテ」 開き始めた結腸に逸物を入れ込ませればソリテはイッた。 あっぶな。持ってかれるかと思った。 ここに入れられれば苦しいだけでなく気持ちいいんだとソリテの身体は学んだようだ。教えた甲斐があったと啓影は笑みを深めた。 「ええ子やな、ソリテは」 「ぁ"、あっ! むり、やだ…ひぁ、あッ!」 イッたばかりの身体に激しい律動は暴力なのかもしれない。必死に止めようとしているが無駄だった。 気持ちいいという思いで溢れるソリテに口付ける。きゅうっと胎内が締まりまたイッたようだ。 呼吸を奪う様に激しく口付けを交わし突き上げながら彼の胎内に精液を吐き出した。 「ぁ…は…っ」 「もっかい、ソリテ」 「ぇあ、ァ……!」 呼吸を整える間も与えず啓影はもう一度律動を開始した。 ぐたりと四肢を投げ出しいつしか眠りについたソリテを見下ろしながら啓影は息を吐いた。 時計を見やれば夜中の3時を半も過ぎていた。どれほどまぐわっていたのだろうか。 何度ソリテがもうやめてと言ったのだろうか。……情事の最中のやめてなどもっとに近いものがあるのをこの子は知らないまま。 気をやってもその都度快楽で戻しては喘ぐソリテを眺めていた。そうして何時間も経ち欲が沈んだころにはこうだ。 彼の身体は汗と精液、潮で汚れシーツは乱れに乱れている。頬には涙の痕が残りガーゼもしっとりと濡れている。 腹は精液で薄っすらと膨れ未だ繋がったままの後孔の淵からは飲み込み切れない精液が溢れていた。 起こさぬようゆっくりと腰を引くと甘えるように絡みつく胎内にもう一度犯してやろうかなんて気になってしまう。 「……ふぅ」 それを鎮めるように深い息を吐いて後ろ髪を引かれる思いで後孔から引き抜く。 このままでは腹を壊すと思い後孔に指を突き入れ中のものを掻き出す。 「ぅ、ン……ッ」 開発しきったそこに触れるだけで眠っているはずのソリテの口からは悩まし気な息が零れた。 必死に理性をかき集めながら精液を掻き出し身体を拭こうとした。 でも、なんだろう。眠っている時にいたずらをしたくなるのは。 「煽ったん、ソリテやしなぁ」 そんなことを言ったところで本人はその気なんてなかったのは知っている。 でも、再び首をもたげた逸物を自分で慰めるのはなんか寂しいではないだろうか。 もう一度中の熱を味わうこともしたいが、それはまた今度にしよう。今は、普段彼がしないことをしよう。 ソリテの右手を掴み開かせ自身の逸物を握らす。それだけで射精が出来そうだった。 寝てる相手に無粋を働く。ああ、なんて背徳なことだろうか。 ひやりと冷たい手に緩く握らせたまま腰を振る。最愛の人の手をオナホ代わりにする。 「っ、ああ、ええよ、ソリテ……っ」 何度か腰を振った後啓影は射精した。 「は……っ」 精液で汚れた彼の手を見て性欲が少し落ち着いてきた。 自身の逸物を軽くティッシュで拭きズボンだけ身に着けてはタオルでソリテの身体を拭いていく。 風呂は明日自分で入るだろうから今は簡単なものでいい。 「ガーゼ……や、でも、あかん、よな?」 濡れたままのガーゼに触れて我に返る。乾くにしてもこのままでは衛生上よくない。 ソリテが打ち明けてくれるまで触れないでおこうとした場所。今見るわけにもいかない。 「……ごめん、ソリテ」 勝ったのは好奇心や心配の方。代えのガーゼを用意しそっと外し啓影は言葉を失った。 酷いやけどの跡が頬の半分を埋めていた。一体どうしたらこんなやけどを負うのだろうか。 『母さんがさ』 以前話していたことを思い出した。これは母親からのものなのだろうか。 「ぁ……? けいえい……?」 怒りに支配されそうになった時ソリテの声に啓影は意識を戻した。 「ま、まだ夜やから寝ててええで」 「ん……わかった」 ソリテはすぐに眠った。何度か深呼吸を繰り返し啓影は頬にガーゼを張り替えた。 勝手に見てしまった罪悪感を感じながらも見ず知らずのソリテの母親に強い怒りを感じた。

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