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第27話

鳥のさえずりが遠くで聞こえそれに釣られるようにソリテの意識が浮上する。 ぼうっとする頭を起こそうとしながら隣を見やれば彼は未だ夢の中にいるようだった。 いつもなら先に起きて寝顔を眺めている啓影が、最近寝れていないせいか今日は隣でまだ眠っているのが不思議だ。 起こさないようにそっと頬に手を伸ばし触れた。ひんやりとした体温はいくら熱を分け与えど温かくなることはない。 人よりも高い体温が彼に移ればいいのに。なんて考えて恥ずかしくなりソリテは手を放そうとした。 でも、それより先に逃がしまいと啓影の手がソリテの手を掴んだ。 「おはよぉ、ソリテ。……なんか、する気やったん?」 揶揄いながら掌に口付け落とせば熟れたりんごのように赤くなる様を見てくつくつと笑った。 近くにいるけれど、もう少しそばに来てほしいと思い軽くその手を引いた。 近付く顔に反射的に目をつぶったソリテが愛おしい。 ちゅうっとリップ音を立て唇に口付けた。 「け、いえい」 「なぁに、ソリテ」 「……お、はよ」 「ふは。おはよ」 キスの一つするにも未だに慣れないソリテ。もう一度と顔を近付ければまた目をつぶった。 触れ合わせた唇から想いを伝わすように長くながく口付ける。 酸素を求めようと開いたソリテの咥内に舌を潜り込ませればダメだと離れようとする手を絡め取った。 「ん……ッ、けいえい……」 「朝ごはんの前にソリテ、ちょうだい?」 甘い声で強請れば迷うように視線が揺らめいた。 でも、答えなんて一つしかない。悩んでいるふりをするソリテの頬を撫でる。 「……残すなよ」 「あは、誰に言うとるん? お前を残すなんてありえへんわ。ぜーんぶ、食べたるから♡」 次に目を覚ました頃は陽はとうに落ち夜になっていた。 昨夜も夜明けまで求められ起きてからも数えれないほど求められた身体は気怠く指先一つ動かすのも億劫だった。 隣に視線をやるともう啓影は起きているらしく重たい手を動かせばそこは冷たく起きたのはずいぶん前だと知った。 流石に起きねばと身体を懸命に起こし起き上がる。 「……服、下か」 いつもなら散らばっている服は綺麗に畳まれベッドサイドに置かれていた。それを手にして服を着て部屋を出た。 今ならリビングにいるだろうか。 飯……と考えぐぅっと腹の虫が鳴る。 ゆっくりとリビングへ向かいドアを開ければテレビを見ていた啓影が気付きこちらを見た。 「おはよ。ゆうても、もう夜やけど。飯できとるけど、食えそう?」 「おはよう。ああ、食える。腹減ったし」 「ほんなら、あっためるから座っててや」 こくりと頷いて椅子に座り啓影が見ていたテレビに視線をやった。 恋愛ドラマが流れている。途中からだが話の内容は分からないが、どうも暗い恋愛系のようだ。 「はい。熱いから気ぃ付けて」 「ありがと」 レンジで温められた夕飯に箸を伸ばす。今日は肉じゃがに味噌汁と炊き込みご飯だった。 一口食べながらいつも一緒に食べているのに今日用意されたのは一人分だけ。 不思議そうに首を傾げ尋ねる。 「お前は食わないのか?」 「ん? ああ、今はお腹いっぱいやから」 「先に食ったのか?」 「んーん。ソリテの血と精液で腹いっぱいやねん」 「な……っ!?」 思わず箸を止め啓影の方を見る。今、こいつはなんて言った? 真っ赤になっているソリテを見て啓影は笑う。 「俺からしたらお前の血と精液はごちそうやねん」 「ぇ、は……?!」 「やからな、ソリテ。いつでも、健康におって。栄養のある飯でお前が健康でいてくれたら俺はいつでもごちそうにありつけるんやから」 ソリテからしたら啓影の話は理解できなかった。普通の人間であるならそんなものがごちそうになるわけもない。 困惑と恥ずかしさを感じながらソリテは今まで聞きまいとしていたことを口にした。 「お前は、やっぱり人間じゃ……ないのか?」 「……そうやって言うたら、ソリテは離れてくん?」 まあ、離すつもりなんて毛頭ないが。 試すように言えばソリテは首を横に振った。 「お前が、化け物であろうと俺にとっては……だ、いじな奴だし。離れてくつもりは、ねぇけど」 「……はは。そうやな。そう、やんなぁ、ソリテは離れてかんもんなぁ」 一瞬目を見開いた後啓影は心の底から嬉しそうに笑った。

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