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抗議 4【※】
(口づけは、本当に好きなやつとするべきだ……)
もちろん、ファーストキスとか、そういうやつじゃない。でも、亜玲に口づけられたことが本当に嫌だった。
こんな最低な悪魔みたいなやつに……。
「祈って、本当に純粋……ピュアってやつだね」
ニコニコと笑った亜玲が、そう言う。……バカにしたような声音だった。その所為で、俺は起き上がろうとする。が、亜玲にあっさりと床に押さえつけられてしまう。体格のいい亜玲に、俺は敵わなかった。
「まぁ、そういうところ本当に可愛いよ」
亜玲のその言葉に、俺は目の奥を揺らしてしまった。……可愛い? なに、言ってるんだ、こいつは……。
けど、そう思えたのは本当に一瞬だった。亜玲の手が、俺の衣服にかけられたからだ。
(……なに、してんだ)
動揺して、口から拒絶の言葉も出なかった。それをどう思ったのか、亜玲は俺のシャツをまくり上げる。
胸元まで露わになった俺の身体を、亜玲が見下ろす。それは欲を含んだもののようであり、俺の身体がゾクゾクとした。
(にげ、なくちゃ……)
頭がそれしか考えられなくなる。なのに、俺の上に跨る亜玲を押しのけることさえ出来ない。
「きれいだよねぇ、祈って。……なんだか、女の子みたい」
「……は?」
確かにオメガだから、普通の男よりは可愛らしいかも、しれない。だけど、女の子みたいなわけがないだろ……!
そう思う俺を無視して、亜玲の手が俺の脇腹を撫でる。瞬間、俺は無意識のうちにびくんと身体を跳ねさせた。
「敏感だね。……こういうこと、されたことないの?」
亜玲がさも当然のようにそう問いかけてくる。……あるわけ、ない。
「あるわけ、ないだろ……!」
だって、そこまで信頼関係を築くよりも前に、俺はフラれるのだから。ほかでもない、亜玲が原因で。
「お前の、所為で……!」
必死に亜玲を睨みつける。だが、こいつは笑うだけだった。楽しそうに、嬉しそうに。
欲を孕んだ目で俺を見下ろして、笑う。……身体が、きゅんと反応したような気がした。
(違う、こんなの、俺の気持ちじゃない……!)
そう思うのに、亜玲に身体を撫でられていると、経験したことのない疼きが身体を襲う。
自然と喉が鳴って、油断したら声が出てしまいそうだった。
「ぁ、っ」
「いいよ、声、上げて。ここ、防音だから」
にっこりと笑った亜玲が、俺を見下ろして身体を撫でる。防音、なんだ。
「ぁあっ、っ」
際どいところにも触れられて、小さなうめき声が漏れる。……ダメだ、これ以上は、本当にダメだ……!
「や、めっ」
亜玲の手に自身の手を重ねて、必死にやつを制止させようとする。しかし、手に力が入らない。
「やめてほしいの?」
俺の言葉を聞いて、亜玲がそう尋ねてくる。俺は、こくこくと首を縦に振ることしか出来ない。
そんな俺を見て、亜玲が俺の耳元に唇を近づけた。そのまま耳朶を軽く噛まれて、目が見開く。
「やーだ。……こんなところで、やめられるわけがないんだから」
耳元で、艶めかしい声でそう囁かれる。……それだけで、身体の芯がじんと熱くなった。……ダメだ、ダメだ。
このままだと、亜玲に――。
そう思うのに、耳の孔に舌を差し込まれて、ぴちゃぴちゃと音を立てて舐められると、反応してしまう。しかも、亜玲の手は俺の腹から胸に移動していく。薄い胸をなぞって、硬く尖った先端に触れた。
「んっ!」
ぴりりとした快感が身体中を突き抜けて、自然と喉が反る。
「感じちゃうんだ。……可愛いね」
耳元で亜玲がそう囁く。かと思えば、亜玲の指が俺の乳首をぎゅっとつまみ上げた。先ほどよりも、ずっと強い力で。
「ぁっ」
先ほどよりも、声が漏れた。気持ちいい。頭がそれだけに支配されて、もっとしてほしいという欲求が生まれる。
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