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出会い2

 そうは言っても性別は問題じゃないの? 父も母も性別重視、というか性別でしか見ていなかったし、ベータは出来損ないの性別なんだから、とずっと言われてきた。優秀な種を生み出すことはできない出来損ない。そのうえ僕はオメガにもなれなかった劣等生だ。  なのに、せっかくアルファに生まれた如月くんは、性別関係ない、って言えるの? なんで? 性別は大事じゃないの?   「恋人がいるならフラレても仕方ないけど、性別でならフラレたくないな」  そう言って如月くんはにこりと笑う。 「性別は重要じゃないの? 僕はオメガになれなかった出来損ないだよ?」 「ベータは出来損ないなんかじゃないよ。自分のことをそんな風に思わないで」  卑下しているのだろうか? 母に散々、出来損ないと言われてきた。だからそれが現実だと思うんだけど、違うというの? それとも、ホルモン剤を打ってもオメガになれなかったとは知らないから? 「あの……僕、ホルモン剤何回打ってもオメガになれなかったんだ。だから……」 「そんなことしたの? 俺はベータのままの加賀美くんがいい。第二の性別は関係ないよ。だから加賀美くんの性別がなんであれ関係ない。それとも、それはフる口実?」 「え? 口実? 違う、そんなんじゃなくて。性別は最重要なことかと……」  そう。最重要事項なはずだ。だから母は僕がまだ小さいうちからオメガになるべく努力していたんだ。   「そう? 加賀美くんがどうしてそんなに性別にこだわるのかわからないけど、恋人はいない?」 「いない、けど……」  恋人なんているはずがない。出来損ないのベータの僕に恋人なんているはずがないじゃないか。 「じゃあ、お試しでいいから付き合ってみてくれない? で、やっぱりこいつ嫌だ、と思ったらフッていいからさ」 「え……ちょっと待って。僕なんかと付き合ったら如月くんのために良くないから!」  そう。如月くんにとってマイナスでしかない。だからやめた方がいい。   「俺のために良くないってどういうこと? 俺は加賀美くんが好き。そして加賀美くんは今フリー。それで良くない? それとも俺のこと嫌い?」 「え? 嫌いなんてことないけど」  しゅんと落ち込んだような表情を見せるのはずるいと思う。何も言えなくなるじゃないか。    「よし! じゃあ決まり! これから優斗って呼ぶね。だから俺のことも樹って呼んで」  え? 断ったつもりなんだけど……。断れてなかったの? 性別を出したのに? 僕、ベータなのに、いいの? 後で後悔するんじゃないの?  これが、ベータの僕にアルファの恋人ができた瞬間だった。

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