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束の間の幸せ7

 チャペルのドアの前へ行くと、樹くんが既にいた。  光沢のあるシルバーに襟元やベストなどの差し色に黒を使ったフロックコートは洗練された樹くんにぴったりで、思わず見惚れてしまいそうになる。 「やっぱりそれ、優斗によく似合ってる」 「ありがとう」  甘くて蕩けそうな表情で褒めてくれる樹くんに、恥ずかしくて思わず俯いてしまった。 「ほら、腕組もう」  恥ずかしがっているのは僕だけで、言った当の本人である樹くんは涼しい顔をしている。  女性が新婦となる場合は、父親と腕を組んでバージンロードを歩くが、僕と樹くんはどちらも男なので、二人で腕を組んでバージンロードを歩いて祭壇まで行く。  それにしても樹くんは落ち着いているように見えるけど、緊張していないのだろうか? 僕は緊張してきてガチガチだというのに。 「もしかして緊張してる?」 「してるよ。樹くんは大丈夫なの?」 「俺は大丈夫。だって家族しかいないし」  まぁ、僕も樹くんも一人っ子なので、参列しているのは両家の親と樹くんの従兄弟が一人しかいないという、こじんまりとした式だ。  それでも、人が見ている前で誓いのキスとか恥ずかしすぎる。それに写真も撮られるし。こじんまりと親族のみ、としたけれど二人だけの方が良かったかもしれない、と今さら思ってしまった。 「俺がいるから大丈夫だよ」 「うん……」  そんなやり取りをしていると、ドアが開き、賛美歌が聞こえてくる。   「行くよ」  堂々と歩きだす樹くんに半歩遅れる形で僕は歩きだした。  そして、祭壇の前の牧師さんの前で立ち止まる。ここで僕の緊張はピークを迎えた。横目でチラっと樹くんの方を見ると、落ち着いた表情で牧師さんの方を見ている。樹くんがいるから大丈夫。自分にそう言い聞かせた。  自分を落ち着けている間に、誓いの言葉に入ってしまっていた。 「如月樹。あなたは加賀美優斗を夫とし、健やかなる時も 病める時も、喜びの時も 悲しみの時も、富める時も 貧しい時も、これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」 「誓います」 「加賀美優斗。あなたは如月樹を夫とし、健やかなる時も 病める時も、喜びの時も 悲しみの時も、富める時も 貧しい時も、これを愛し 敬い 慰め合い 共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」 「誓います」 「それでは、誓いのキスを」  僕が一番恥ずかしい誓いのキスになってしまい、体がカチンコチンになり、目をギュッと瞑ってしまう。僕が緊張しているのを知っている樹くんは、柔らかい笑顔を浮かべてから、僕に軽くキスをした。  こうして、僕は緊張でわけがわからない中、結婚式はつつがなく終わった。

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