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帰宅3

 僕が泣かせたにも関わらず、泣き声で必死に言う樹くんがあまりに悲しくて、涙がでてきた。 「優斗。お願いだから俺のそばにいて。昔から言ってるよな。俺の前からいなくならないでって。今回、優斗がいなくなってどれだけ辛かったか。食事なんて喉通らないし、夜なんて眠れないし、仕事だって集中できない」  そうだよ。仕事! なんであんな時間にあそこにいたの? 「体調悪いからって言って早退させて貰った」  樹くんの胸を押して、顔をしっかり見る。さっきはきちんと見てなかったから気づかなかったけれど、顔色が悪い。 「大丈夫?」  自分がしたことを棚にあげて心配してしまった。だって、樹くんがこんなになるなんて思わなかったんだ。 「大丈夫じゃないよ。逆に俺が大丈夫だなんて思ってたの? だとしたら俺の愛情が通じてなかったってことだけど」  樹くんの愛情。わかってる、……つもり。でも……。 「僕も樹くんのこと好きだよ。ほんとに好き。でも、だからこそ出ていったんだ」 「なんで俺のことが好きなのに出ていくんだよ」 「樹くん、前に言ってたよね。子供、早くできたらいいな、って。お義父さんもそう。なのに、僕は三年経っても妊娠すらしない。好きな人を悲しませたくないんだ。だから僕と別れて、誰か好きな人と再婚した方がいい」 「子供できないと俺が悲しむの? じゃあ、優斗がいなくなても俺は悲しまないとでも言うの? それに俺が好きなのは優斗だけだ」 「樹くん……」 「そうだろ。俺は子供云々よりも優斗がいなくなる方が悲しい。優斗がいなくなったこと父さんに言ったら慌てて、申し訳ないって言ってた。母さんも心配してる。俺からもごめん」 「……」 「それとも、もう嫌だ? 俺なんて嫌いになった?」  そんな! 樹くんを嫌いになるなんてそんなことない。僕は大きく首を横に振った。絶対にそんなことはない。好きだから家を出たんだから。もし、好きじゃなかったら、家を出たりなんかしなかった。 「まだ、好きでいてくれてる?」 「当たり前だよ!」  思わず大きな声をだしてしまった。 「なら、そばにいてよ。子供なんて気にしなくていいから。もし、如月のために必要になったら養子を貰えばいい。子供は代わりがきく。でも、優斗の代わりはいない」 「子供の代わりだっていないよ」 「それ以上に優斗が大事なんだよ」  樹くんの言葉に、僕はなんと言っていいのかわからなくなってしまった。僕はそれほどに愛されているの?

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