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第16話

※スイ視点  目を覚ますと10時になるところだった。 斎田さん、部屋まで来るって 言ってたけどただ待ってるだけで 本当にいいのかなぁ。 と思いつつ、服を着替える。 控えめなノックの音がして返事をすると お盆を持った斎田さんが入ってきた。 「本当に10時に目を覚ましたのですね」 「え?はい。 …、あ!すみません。 もっと早く起きるべきでしたよね… 寝心地が良くてうっかり寝てしまいました」 「いえ、それは別に構いません。 もっと寝ていただいてもよかったのですが せっかくなので朝食を食べてください」 斎田さんが備え付けのテーブルの上に 朝食がのったお盆を置いた。 美味しそう。 「ありがとうございます。 こちらの食事は美味しいですね」 「コックに伝えておきましょう。 きっと喜びます」 斎田さんが表情を緩める。 冷たい人だと思ったけれど 案外、使用人思いの優しい人なのかもしれない。 「ところで、斎田さんはお戻りにならないのですか?」 「ええ。そちらを食べ終えたら またお迎えに来なくてはならないので どうせならお待ちしようかと。 お邪魔ですか?」 「いえ!とんでもないです!」 斎田さんの前で食べるのは申し訳ないけど 何回も来ていただくのも申し訳ない。 なるべく急いで食べないと。 食べ終えると「そんなに急がなくても良いのに」と笑わられてしまった。 食器を一緒に返しに行くとそのまま 別の部屋に案内された。 図書館のような書物がたくさんある部屋。 畳くらいの大きさの机の上に たくさんの手紙や葉書が積んである。 「ここは郵便物の整理や分別をする部屋なのですが、担当していたものが急病で休んでいまして…、このザマです」 「主様には様々な国からお手紙が届くのですね」 「ええ。それに、請求書や見積書から、季節の挨拶文や感謝状など、さまざまな用途の手紙が届きます。 そちらを種類ごとに分けねばならないのです。 ですから、多国語がわかるスイさんに手伝っていただきたいのです」 それはそれは… なんと重要なお仕事! 僕の実家がやりとりしていなかった国からの お手紙だったらどうしよう… と、不安にはなったが、 斎田さんは困ってるみたいだし 簡単に断るのも申し訳ない。 「僕が読める範囲で良ければ、 ぜひお手伝いさせてください」 「助かります。 わからないものは、旦那様に直接お渡しして読んでいただくので構いません。 少しでも量が減らせれば、旦那様の負担も減らせますので」 「そういうことでしたら、任せてください」 昨日の粗相をこれで少しでも 相殺できればいいのだけども…

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