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第18話
ベッドに腰かけている主様の目の前に立つ。
上から見下ろすのは悪い気がして
膝をつこうとしたら手を引っ張られた。
「うわっ!?」
そのまま主様の上に乗る形で
ベッドに飛び込んでしまった。
「も、申し訳ございませんっ」
と、慌てて上から退こうとすると
「このままで良い」と抱きしめられた。
「風呂に入ったのだな」
と主様が僕の頭に鼻をつけていう。
ヒェ…だと、声が漏れそうになったが
「すみません。まだ臭い残ってますか?」
と身をよじろうとした。
入念に洗ったつもりだったが、
頭髪の方は昨日は触られなかったため
他の部位より手を抜いてしまったかもしれない…
そんな臭いを嗅がせるわけにはいかない
「スイはまるで砂糖菓子のような香りがする。
好きな匂いだ」
鼻をぐりぐりと押し付けられている感触がする。
「ひょえぇ…」と情けない声が漏れた。
そんな甘ったるい匂いするのかな?
でも、主様が好きな匂いとおっしゃるには
不快にはさせていないだろうと安心する。
「主様は甘いものがお好きですか?」
と無言の鼻ぐりぐりに耐えかねて
僕は主様に聞いた。
「嫌いではない。
そんなにたくさんは食べられないが」
「今日のクッキー、美味しかったです」
「そうか。スイはあれが好きなのか。
覚えておく。また買ってこよう」
そう言われて、まるでねだったみたいで
がめついと思われたらどうしようと焦る。
「い、いえ!大丈夫です!
ただ感想をお伝えしたかっただけですので!」
「ならば、どんな甘味が好きなんだ?
和菓子か?それとも支那や英国の菓子か?」
「僕はそんなにお菓子を食べる機会がなかったので、詳しくはないですが…
お気持ちだけで嬉しいです」
そういうと主様は不服そうに僕の顔を見た。
なんかご機嫌を損ねてしまっただろうか?
「主様?」と焦りながら声をかける。
「…、服を脱げ」
不満そうに僕をじっと見ていた主様が
不意にそう言った。
またあの時間が始まるのか…
とはいえ、それで主様のご機嫌が
治るのなら脱ぐしかない。
僕は意を決して震える指で
ボタンに手をかけた。
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