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第21話

※学者視点 本物のシーマ族を見てから 僕の研究欲に火がつき 夜も眠らず次の日の夜まで ずっと文献を読み漁っていた。 どの文献も端の方にちょこっと 同じような情報が載っているだけで いまひとつ情報が増えない。 あまり情報が載ってないこととなると さらに火がつく。 何冊目かの文献でシーマ族の 繁殖についてが書いてあった。 子供が産める個体は 簡易的な女性器が後から 出現することがある。 なるほど… これスイちゃんにはもう出来ていたりしないか!? 気になる。 気になったら確認せずにはいられない。 気づくと僕は、アポも取らずに 東堂家に向かっていた。 外に出てから暗さに気づき、 今はもう夜であることを知った。 店の電気も消えているし もしかしたら深夜なのかもしれない。 ま、やつはどうせ起きているだろう。 東堂邸に着くと、執事の斎田さんが 門を閉めようとしているところだった。 声をかけると驚いた顔をしたが 「旦那様は只今お取り込み中です」と 言われた。 「スイちゃんの件で分かったことがあって 取り込み中なら中で待ってもいいです」 「スイさんの…」 要件を言うと、考えるそぶりをした。 「そう言うことでしたら、どうぞ」 「ありがとうございます」 斎田さんのことだから 断られるかと思ったけど 入れてもらえるならラッキーだ。 バカ広い屋敷を長々と歩いて ようやく彼の部屋の前に着く。 部屋の外までスイちゃんの嬌声が響いてる。 これはそうとうお楽しみだな。 引き返すかと思ったら斎田さんがドアをノックした。 え!?お楽しみの邪魔して大丈夫か!? もし彼が大激怒しても 今のは斎田さんが悪い。 僕は引き返そうとしたし… 嬌声が少し大きくなり クライマックスであろうことがわかる。 斎田さんがイラついたように 再度ノックをした。 嬌声が悲鳴のようになり とても盛り上がっているようだ。 彼もよくやるなぁ と思ったら、斎田さんが慌てたように ドアを開けて中に入った。 「ええ!?」 思わず声が出る。 斎田さんってこんな人だっけ!? 僕も面白そうだと思い 部屋の中に入った。   ベッドの上にはぐったりしたスイちゃんと そのスイちゃんに布団をかける彼がいた。 斎田さんは「無理をさせないと言ったでしょう」と説教をしている。、 「お前のせいで興が削がれた」 と、当の本人は不貞腐れている。 「ほどほどにしてください。 帯刀様がお見えです」 と言われ、まるで僕が邪魔をしたような 言い方はやめて欲しいと思いつつ 「スイちゃんのことでわかったことがあるんだ」と言うと、「聞かせろ」と言われた。 怒ってないみたいで良かった。 そっと部屋の外に出る斎田さんを確認して 僕はシーマ族の繁殖について伝える。 「でさ、スイちゃんには その簡易的な女性器があるか確認を…」 と、スイちゃんに近づこうとすると 手近にあった本をぶつけられた。 「いたっ!?」 「静かにしろ。スイが起きる。 お前には指一本、触れさせない」 「えぇ…。せっかくいい情報を持ってきたのに」 「じゃあ礼までに教えておこう。 今のところ、そういう器官はない」 「そっかぁ…、じゃあもし出来たら 触らせてくれない?クスコ持ってくるから」 「殺されたいのか?」 「じゃあ見るだけ」 「帰れ」 「ケチィ」 駄々を捏ねてみたが、殺気を感じたので すごすごと帰ることにした。 機嫌がいい時に来ることにしよう。

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