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第28話

目を覚ますと今日は自室にいた。 いつも恐る恐る、戻ってきてはいるけど いよいよ一緒に寝ることも 許されなくなってしまったのかもと落ち込む。 僕は主様に対して 本当になにかしてしまったのだろうか。 最初は気に入られていると 心のどこかで思っていたけど… ベッドの上で呆然としていると 控えめにドアがノックされた。 返事をすると 斎田さんが入ってきた。 「もう起きていたんですね。 体調は大丈夫ですか?」 「はい」 思ったよりも声がガサガサになっていた。 身体中が痛い。 筋肉痛みたいだ。 「旦那様には注意をしておきました。 それと勝手ながらここまでスイさんを 連れ帰りました」 主様に追い出されたわけではないのかと 少しホッとする。 「すみません。僕にもっと体力があれば 良かったんですけど… それに、なにか主様のご機嫌を損ねてしまったみたいで…」   「いえ。スイさんは悪くありません。 旦那様が全面的に悪いです。 昨日のようなことはしないと約束させましたので、また今日も行っていただけますか?」 「そんな! 僕、まだ主様に嫌われてないですか?」 「ええ。嫌ってなどおりません」 「僕、今日も行きます。 それがお仕事なので」 「…、真面目なのは大変ありがたいですが… 無理をしないでいただきたいのと 旦那様の前では仕事なので、とは言わないで いただきたいですね」 「?」 どういうことだろう。 仕事だから来ましたとは言わない方がいいのかな。 不思議に思いつつも頷く。 険しかった斎田さんの表情が緩む。 「助かります」 お食事は好きな時間に、と言い残して 斎田さんは部屋を出て行った。 今日は体が辛いし 申し訳ないけど お昼の仕事は休んじゃおうかな… いや、でもやっぱり雇われの身だし、 体力もつけなきゃいけないし、 今日も行かなきゃと 僕は気合を入れ直して布団から出た。 ずきりとして慌てて服を捲る。 と、身体中に噛み跡があった。 ヒリヒリする… 確かにこれは、斎田さんに注意してもらって 良かったのかもしれない。 傷跡とかは特に気にしないけど 服が擦れるたびに痛いのは 流石に支障が出る。

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