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第29話※
それから、毎晩のように
主様の部屋に行き、
ご奉仕をしてから行為をするというのが
いつも通りの流れになっている。
ご奉仕がうまくいっているのか
あれ以来、噛まれたり
痛くされることもなくなった。
もちろん、最中に斎田さんを
呼ばれることもなくなった。
しかし、早朝にこそこそ部屋を抜けることは
できなくなってしまった。
朝起きると主様がしっかりと僕に
腕を回しているから、で
抜け出そうとすると「行くな」と言って
より力をこめられるからだ。
「恐れ入ります」と言って
そのまま主様が起きる時間まで
待つことになっている。
斎田さんに相談したけども
「旦那様が良いとおっしゃるなら
それで良いのではないでしょうか」としか
言われなかった。
ある日、いつも通り
主様のお部屋に行き
ご奉仕しているとドアが開かれた。
びっくりして入口を見る。
見たことのない、白衣を着た男の人が
「東堂!!大ニュースだ!!!」
と叫んでいる。
主様はため息をついて
僕を引き剥がした。
「主様が…、呼ばれたのですか?」
「ん?…、ああ。まあそんなところだ」
主様が呼んだんだ…
ヒカリさんから聞いたけど
大人数を相手にすることが
好きなお客様もいるらしい。
主様も僕と2人でするのに飽きてしまって
この人を呼んだんだろうか…
それなら…、嫌だけどご奉仕しなきゃ…
「えっ!?あ!ごめん、プレイ中だった?」
全裸の僕を見て、その男の人は驚いていた。
「いつも連絡しろと言っているだろう。
はぁ…、まぁいい。少し待っていろ」
主様はこちらに背を向けて服を身につけている。
「久しぶり…、って、スイちゃんに会う時は
いつも寝てるから
スイちゃんからしたら初めまして、か」
ニコニコしている。
悪い人じゃないのかも。
すぐ近くに立っている男の人の足元に
膝をつく。
「ん?どうしたの?」
不思議そうな顔をして僕を見下ろす男性の
ズボンに僕は手をかけた。
「え?ええっ!?なに!?」
現れた陰部に口をつけると
みるみると硬くなっていく。
「ス、スイちゃん!?
僕は君みたいな未知の存在と繋がれることは大変光栄なんだけど!!殺されちゃうよぉ」
口淫をしていたら
「なにをしている」という主様の低い声が聞こえて、目の前の男性が視界から吹き飛んだ。
口淫をしていた体勢のまま
驚いて主様を見上げる。
「いったぁぁぁ!!?
ちょっと!僕悪くないよね!?
なんで僕を突き飛ばすのさ!!」
白衣の男性が涙目で主様を睨む。
「お前も抵抗をしろ。
スイ、なぜ私以外にしたんだ?」
主様、すっごく怒ってる…
「あ、主様が呼ばれたんですよね?
僕のお仕事はこういうことかと思って…
僕、間違えてましたか?」
震える声で主様を見上げる。
主様はため息をついて僕にガウンをかけた。
また、失望させてしまったのだろうか。
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