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第42話

※スイ視点 それから数日、主様のお部屋で寝起きするのは慣れないけれど、特に問題もなく過ごした。 言われた通り、下着を着る時は緑っぽい色や、女中さんが黄色や橙色も似合うと言ってくれたので、それを出してもらったりして、 無理に青色を着るのはやめた。 主様もそれに満足しているようだし。 でも、どうしてもルリコさんからのお手紙が気になる。 同じ部屋にあるのだから仕方がないけど。 だから、時間に余裕がある時は 極力部屋を出て、使用人の仕事を させてもらっている。 最近は手紙の仕分けも効率が上がって 掃除や、人手が足りない時は 炊事も手伝わせてもらっている。 炊事に関しても、実家ではある程度やっていたけれども、 流石に東堂家ではキチンとした料理人と料理長がいて、簡単な下ごしらえはできても いざ調理となると足を引っ張ってしまう。 だから、仕事というよりは 逆に勉強させてもらっているようなもので 授業料を払うべきでは?とさえ思ってしまう。 ただ、美味しい料理が作れれば 主様が長期間、外国に行ったとしても 僕を連れて行ってもらえれば 食べたい時に日本食を召し上がれる。 そういうところで、こつこつと 自分の価値を高めていかなければ。 もしも、夜のお仕事がなくなったとしても 使用人として置いてもらえるだろう。 なんて… ある日の夜、情事の後に 主様が僕に話しかけた。 「明日から、数日、家を留守にする。 斎田も連れて行くから、困ったことがあれば、イワサキに言ってくれ」 「イワサキさん?」 「そうだ。明日、家を出る前に紹介する。 斎田よりも長い執事だ。 少し高齢だが、かなり頭が切れる」 「わ、分かりました」 「私がいない間に、悪さするなよ?」 主様が笑いながら言う。 「僕、悪さなんてしないですよ。 もう大人なんですから」 「スイの場合の悪さは、働きすぎて体を壊すことだ。気をつけるようにな」 「最近はしっかり体調管理もしてます。大丈夫です」 「そうか。それなら安心だ」 「はい」 主様がホッとした顔をして、僕も満足げに頷く。 この部屋に数日は1人と考えると 少し寂しい気もする。 次からは僕も連れて行ってもらえるように スキルを上げておこう。 「今回は国内だから、そう時間はかからないとは思うがな。寂しいか?」 「…、少し、そう思います」 「そうか。なるべく早く帰ろう」 「無理はなさらないでください」 寂しい、だなんて少しわがままかと思ったけれど主様は優しく笑うだけだっだ。 それに安心した僕は、ゆっくりと眠りについた。 明日からの数日間を乗り切れるように。

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