47 / 75
第47話※
「スイの人懐こいところは美点だが
心を開きすぎるところは問題だな」
「え?」
主様が冷たい顔で僕を見下ろす。
久々に主様に会えたのに
僕はまた怒らせてしまった。
でも、西条さんとお話したことをそのまま言ってしまうわけにはいかないし…
「どうすれば、スイの気持ちを貰えるんだろうな」
主様が苦しそうに言う。
僕の気持ちなんかが欲しいとおっしゃるなら
いくらでも差し上げるのに。
気持ちをあげるってどうするんだろう。
「お渡しできるものなら、お渡ししたいんですけど、やり方が分かりません」
仕方なく、正直に答えると主様は
「私の頑張り不足だ。気にしなくて良い」
と力なく笑った。
僕の手首を掴んでベッドに押し倒した状態のままだから、しばし主様と見つめ合う。
主様が疲れているのは、重々承知だけど
目の前にいるのに触れられないのが辛い。
「主様…、お嫌でなければ口付けをして欲しいのですが…」
「…」
主様がため息をつく。
いつもして貰ってるから、主様はそれが好きなのだと思ったけれど
今じゃなかったみたいだ。
変なお願いをしたことを後悔する。
「すみません。やっぱり、なんでもな…」
と、言いかけたところで
主様の唇が腫れた。
そのまま、噛み付くように貪られる。
苦しい。
けど、主様と口付けをしているというだけで心がじんわりと温かくなる。
「誤魔化されないと思ったが、
そのお願いは流石にずるいな、スイ」
唇が離れた後、肩で息をする僕に
主様が言う。
慣れた唇に獰猛な目をした主様と目が合うと、お腹の奥がジンと痺れた。
期待してしまう。
でも、主様は疲れているし、
もうお休みしたほうがいいだろう。
けど…
僕は太ももを擦り合わせた。
「可愛いな、スイは」
主様が僕の腰を撫でる。
その手つきのせいなのか、僕の体が淫乱になってしまったのか
それだけで、僕の中心は立ち上がってしまう。
いつもは僕がするご奉仕を
主様がしようとしている。
ただ、今日は主様が帰らないと思ったので
サッと洗ったきりだった。
しかもこの3日間、そこに触れていない。
そんなところを主様のお口に入れるわけにはいかない!
僕は慌てて身を捩って、口から逃れようとした。
主様はそれが気に入らなかったのか、ムッとした顔でこっちを見る。
「されたら困ることでもあるのか?」
「いえ…、その…、今日は準備をしてなかったので、そこはあまり綺麗じゃな…、ヒャッ!?」
びっくりして情けない声が出た。
そんなことよりも、主様が咥えている。
汚いのに!
抗おうとしたけど、久々のそこへの刺激に
僕の思考はドロドロに溶けてしまう。
ともだちにシェアしよう!