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第49話

目が覚めると朝になっていて 主様は隣の机で書類を眺めているところだった。 「お、おはようございます…」 思ったよりも声が掠れていて 主様に聞こえたか不安だったけど 主様は僕が起きたのを見ると 「おはよう」と返してくれた。 「9時になったら帯刀が来るから 昨日の話の続きをさせて欲しい」 と言われた。 昨日の話…、と寝ぼけたままの頭で 昨日のことを思い返す。 そういえば、僕の性別がどうこうの話をした気がする。 時刻は8時。 流石にこのままの姿で帯刀さんと会うわけにはいかないから支度をしなくては。 僕は布団から這い出る。 「朝食にしようか」と主様に言われ、 「食堂に行ってきます」と言うと 「これからスイは私の婚約者ということになるから、私と取るといい」と言われた。 「へ?」 「結婚すると言ってくれただろう? スイはもう使用人ではない」 「え?」 混乱して立ち尽くす僕の手を引いて 主様は僕をダイニングルームへ向かう。 僕が婚約者?! あれよあれよと言う前に 目の前のテーブルに食事が置かれる。 固まっていると 「苦手なものがあるのか?」と 主様に聞かれた。 「いえ、どれもとても美味しそうですけど… 僕は食堂のご飯で構わないです」 「私と食事を取るのが嫌か?」 「滅相もございません!でも、僕は主様と同じものは…」 「婚約者なのだから、主様はよしてくれ。 名前で呼んでもらえると助かる」 「はっ!?へ?ええ!!?」 まず、僕が婚約者というところから 突っ込みたいのですが… でも、帯刀さんが来る時間が迫っている。 とにかく、問題は後にして今は朝食をいただかなくては。 身に余る食事をいただく。 けど、どうにも量が多くて食べきれない。 「食べられないのなら無理をしなくていい。 残して構わない」と主様はおっしゃるけど こんなすごい朝食を残すなんて… 僕はなんとか詰め込もうとしたけれど 完食はできずに泣く泣く残した。 料理を作る大変さが分かるから できれば完食したかったな… 悲しそうな顔をする僕に主様は 「スイの食べ切れる量で出してもらうようにするからそんな顔をしないでくれ」と 困ったように笑った。 服を着替え、主様と一緒に客室で 帯刀さんを待つ。 9時は過ぎている… 「あいつは時間にルーズだからな。 悪いけど、来るまで待ってくれ」と 主様に言われ 「仕事もないのでお気になさらず!」と 慌てて頭を上げてもらった。 主様に謝らせるなんて… 急に使用人をやめろと言われても困るなぁ 30分遅れてやってきた帯刀さんは 僕たちを見るや否や、おめでとうと言った。 それから、僕がシーマ族であることや 二次性徴を迎えれば子供が作れる話なんかを 教えてもらった。 正直、全然納得は仕切れない。 僕は母や父と血が繋がっていたと思っていたし 完全な男性ではないと知って混乱している。 しかし、僕が子供を産めるようになれば 主様と結婚できるのだと言うことは分かった。 僕に二次性徴が来れば、後継は産める。 僕に…、もし二次性徴が来なかったら…? 説明を聞いて希望を持つ自分と そうならなかったらと不安になる自分とが せめぎ合っている。 二次性徴が来るかどうかの違いについても 帯刀さんはまだ調査中とのこと。 僕が子供が産めない個体だったら この生活はどうなるのだろう…

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