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第52話※

「せっかくスイのために我慢していたのに 悪い子だな」 「…っ、ごめんなさい! 主様疲れているのに、誘うようなことして… 僕、はしたないですよね」 悪い子、と言う言葉に背筋が凍る。 そもそも、主様に対して不貞腐れた態度を取るなんて、ありえない。 僕は慌てて謝る。 「スイ?」 「僕、いい子になりますので。 ちゃんと勉強も頑張ります!だから…、捨てないでください」 「私はスイを婚約者にしたんだ。 多少のことでは手放す気はない。 スイは私に身を任せれば良い」 「あっ…」 どこか妖艶さのある笑みを浮かべて、 涙を浮かべて怯える僕の手を 主様が絡めとる。 それだけで恐怖が和らぎ、別の意味で胸がドキドキしてくる。 「そうだ。私はスイを傷つけない」 そう言いながら、主様は僕の唇に 口付けをしてくれた。 啄むようなそれにおずおずと応えていると 不意に舌が割って入ってくる。 啄むようなキスが貪るようなキスに変わり 僕はついていくのに必死で まだ電気もついているのに服を脱がされていることに気づかなかった。 キスが止んで、しばし主様の顔を見つめる。 視界が涙でぼやけて、目が合っているかは分からない。 「ひゃっ!?」 主様の指が僕の胸の飾りを掠めて びくりと体が反応する。 ここに来たばかりの頃よりも 快感を拾うようになったそこは すでに赤くぷっくりとしていた。 爪でカリカリと擦られると 声が押されられず、 頭がポヤポヤしてくる。 「ああっ…、、んぁ」 必死に抑えようと唇を噛んでも 声が漏れ出てしまう。 「こら、噛むな」 と主様が長くて綺麗な指を僕の口に 差し込んでくる。 「ふぁっ…」 物欲しそうにその指に舌を絡めると 「誘うのも随分上手くなったな」と 主様が褒めてくれた。 僕の唾液でぬらぬらしたその指を 主様は僕の後孔に挿れた。 「んあぁっ!?」 勉強が忙しく、ずっと使われていなかったそこは 久々の挿入に嬉しそうに戦慄いた。 「スイのここは優秀だから ちゃんと覚えているみたいだな」 表向きは褒めているように聞こえるけど 裏に「淫乱だ」という意味を含んでいそうで 羞恥で顔が熱くなる。声も出ちゃったし。 「言わないでください」 「気づいてないかもしれないが、恥ずかしがるスイも可愛いんだ。 言わないということはできない」 「可愛いって言うのも嫌です。 もう、挿れてください」 「可愛いスイを傷つけたくないんだ。 もう少し準備をしよう」 絶対、わざと僕を辱めようとしているのが分かる。 僕が子供っぽいから揶揄っているのかもしれない。 僕のこと、婚約者とか言ったくせに。

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