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7:友達になろう①

もし霊が視えると言えば変人扱いをされるか、もしくは…… 『ここの空き家、お化け屋敷って近所じゃ有名なんだぜ! お前霊が見えるんなら、ずーっと霊と仲良く暮らせばいいじゃん!』 『嫌だぁぁ!! 出して、ここから出してよぉぉ!!!』 「……槐君? どうしたの?」 「はっ……な、なんでもない! 変なものなんて見てないよ。今朝は……急に気分が悪くなって。それだけだよ」 「……そう。じゃあ、俺は部屋に戻るね。ちなみに左隣だから」 「あ、あのさ!」 「うん?」 礼二郎は、勇気を振り絞って言った。霊のこと──ではないが。 「ま、また部屋にゴキが出たら、柴君頼ってもいい? 俺、本当にあいつダメなんだ……知り合ったばっかりで本当に悪いんだけど、お礼もするから」 礼二郎が必死な顔で言うと、柴はしばらくキョトンとしていたが、すぐにニコッと笑った。 その柔らかな笑顔に、礼二郎の心臓はまたドッッ……キュンと跳ねた。 (な、なんで? 俺、男の柴君にドキドキしてるんだ……?) 「お隣さんだし、そんなのお安い御用だよ」 「あ、あの、今日はなんにもないからアレだけど、明日ケーキ買ってくるから」 「そんな気を使わなくていいよ、俺は虫全然平気だし」 「で、でも掃除までしてもらって申し訳ないし……」 礼二郎はモジモジと人差し指同士をくっつけながらしつこく言った。 『礼』二郎と名付けられているだけあって、わりと義理堅い性分なのだ。 「じゃあ槐君、俺と友達になってくれる?」 「……うん!」 それは願ったり叶ったりだった。 礼二郎も柴と友達になりたいと思っていたが、自分から言うとゴキ退治に利用するために言っているみたいで、なんとなく嫌だったのだ。

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