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柴は少し放心気味の礼二郎の両肩をそっと掴み、優しく言った。 「明日から一緒に電車に乗ろう。これからは俺が居ない時だけバスに乗ったらいいよ」 「え? でも、」 「俺に槐君を守らせて欲しい」 「……」 もし自分が女の子だったとして、彼氏に『君を守りたい』と言われたら『何から?』と冷たく聞き返す自信があった。 柴は彼氏じゃないし、自分も女の子じゃない。それなのに守らせて欲しい、と言った。 何から? 痴漢から。 あと、ゴ〇ブリから。 「……っっ!!」 理解した途端、礼二郎の顔がぶわっと目に見えて赤くなった。色素が薄いせいか、余計に目立つ。 「いい?」 「う、う、ウン……」 「槐君は美人だし、今朝もオッサンからナンパされたんだから、男だからって油断しないでもっと警戒した方がいいよ」 「わ、わ、ワカッタ……」  カッコイイとかイケメンとかはよく言われるが、美人とは。それは男にはあまり使うことの無い形容詞じゃないだろうか。たとえ事実でも。 「明日の講義は何コマから?」 「2コマ目……」 「じゃあ一緒に行こう。電車の時間調べとくからLineのID教えて?」 「す、スマホもってくる……!」 礼二郎がスマホを持ってきて、無事に柴と連絡先の交換が出来た。

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