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10:朝食を一緒に①

 二人分の朝食をテーブルに並べ終えたところで、ピンポンと呼び鈴が鳴った。いそいそと開けると、そこには今日も黒を基調としたオシャレな服を着た柴が立っていた。(礼二郎はまだ部屋着のスウェットにエプロンをしている) 「おはよう、柴君!」 「おはよう槐君、朝食にお招きありがとう。……いい匂いがするね」 「大したものはないけど、どうぞ~!」  1Kの部屋はけっこうな狭さだが、柴の部屋も同じなので特に恥ずかしさはない。というか昨日見られているので今更だ。  ローテーブルに置かれた二人分の食事を見て、柴は目を丸くして驚いた。 「えっ……? 凄くない!?」 「何が?」 「いや、本格的すぎない!? 朝食!」 「そうかな?」 「今朝お母さん来た? わざわざ作ってもらったとか!?」 「なんでだよ、全部俺が作ったよ!」 「槐君、料理出来るんだ。凄いね……!」 「だからたいしたものは無いんだってば」  ご飯、葱たっぷりのわかめと豆腐の味噌汁、少し焦げた子持ちししゃも、海苔と納豆、卵焼き。ごく普通の朝食だが、並べると見栄えが良い。普段料理をしない柴の目には新鮮に映ったようだ。 礼二郎も普段はご飯に味噌汁、納豆くらいなのだが、招待したので少し見栄を張ったところはある。(あるものを全部出した) 「俺の朝食なんて毎日コーヒーとパンかシリアルだよ。実家に帰ったときにしか食べれないような朝食だ……」 「俺、朝食はご飯派だから!」 「いや俺もそうだけど、そうじゃなくって……」 「?」  礼二郎は『いただきます』ときちんと手を合わせて言う柴にますます好感を持った。リアクションが少々大袈裟だが、喜んでもらえて素直に嬉しい。 「味噌汁めちゃくちゃ美味い……!!」  美味しそうに食べて貰えるのも。

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