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②
大人しく撫でられながら、礼二郎は柴を見つめて言った。
「……昨日も思ったけど、柴君の手ってなんだか安心するな」
「え?」
「駅でナンパから助けてくれたときも、昨日涙をぬぐってくれたときも、今もさ。なんでだろう?」
撫でられているから──というより、側にいるだけで安心するのだ。理由は分からない。
昨日『守りたい』と率直に言われたからだろうか。しかしそれだけでは到底説明のつかない、絶対的な安心感だ。
白檀の香りのせいだろうか。怖いものが何も寄ってこないような、強力なお守りを抱いているような、そういう類の――……
礼二郎は自然と目を閉じて、自分からも柴の手に頭を擦り付けた。
「俺、もしかして口説かれてる?」
「へっ?」
真顔で問われて、礼二郎はハッとした。
(お、俺は今、男相手に何を言って……ていうか何をした!?)
「ち、ち、違ッ! その、そういうんじゃなくてぇ!! あ、兄貴と間違え、いや兄貴にも最近はこんなことされないけどッッ」
「――槐君になら、口説かれても大歓迎だけど」
「え!?」
「俺、どっちでもイケる奴だから」
「ええ!?」
柴はニッコリ笑って言った。礼二郎は一応ノリで驚いたが、本心は。
(ど、どっちでもイケるってのは何なんだ……!? ていうかどこに!?)
あまりよく分かっていなかった。
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