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②
「そんなに笑うなんて柴君、ひどい……」
礼二郎は恨みがましい目つきで柴を睨んだ。柴はあまりにもツボだったのか、ひとしきり笑ったあと目じりの涙をぬぐいながら謝る。
「ごめんごめん、槐君って本当に見た目と中身が違いすぎるっていうか、もっとチャラいのかと勝手に思ってたからさ……あ、でも俺は実際の槐君の方が好きだよ。ギャップ萌えっていうかね」
「好き!? 俺のことが!?」
「うん」
少々ニュアンスに違いはあるものの、突き詰めればそういうことなので、柴は軽く頷いた。
礼二郎は、今まで自分に近づいてきた女たちは(ベッドインせずとも)礼二郎が霊を見て泣き叫んだり激痛発言をすると、普通にドン引きして『なんか思ってたんと違う…』と言って去っていった。
なのでそういう面を知られたあとに告白された(?)のは初めての体験で……礼二郎は性別のことも忘れ、いたく感動していた。
(う、嬉しい……! 俺のそういう面を知ってもまだ好いてくれてるなんて……! 柴君、優しいしかっこいいし、いっそ軽いノリで付き合ってもよくないか? だ、大学生なんだし!)
さっきの柴の言い方もごく軽いノリだった。なのであまり重たく捉える必要はないのだろう。男同士で付き合う方法はよく分からないが、きっと友達と変わらないんじゃないかと礼二郎は思う。
(――でも、)
「やっぱり付き合うのは、……」
漠然とした不安がある。柴のことは普通に人間として好きだが──
親しくなればなるほど、嫌われた時が余計に辛い。
「ごめん、俺槐君のこと困らせてるね。さっきのことはいったん忘れてくれる? まずは普通に友達として仲良くなりたいな」
「うん……ごめん」
「いや、俺の方がごめん。なんか軽いノリで言っちゃって」
柴は頭を下げて真面目に礼二郎に謝った。礼二郎はその姿を見て、何故かチクリと胸が痛んだ。
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