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22:たくさんいる①

「まあでも、柴君に守って貰えるなら良かったじゃん。それに俺、同性同士のアレコレに偏見とかないから安心しろよな」 「? うん。俺もそういう偏見はないぞ」 「いや、そりゃおまえはそうだろ。むしろあったらびっくりだよ……」 「なんで??」 何故自分に偏見があったら驚かれるのだろうか。容姿もさることながら、池永は自分のことを天使とでも思っているんだろうか、と礼二郎は思った。 (はあ、美しいってのは罪だな……) なんやかんやと話しながら、二人は講義室へと向かった。 講義室に入った途端、礼二郎は違和感を覚えた。そんなに人気のある講座でもないのに、人間の数が普段より多いのだ。 「なんか今日、人多くないか?」 「は? いつもどおりだろ」 「――え?」 (いつもどおりだって?) 「おーい池永、礼二郎! ここ、ここ~」 「おう、平尾」 いつもの定位置から、友人の平尾が礼二郎達に手を振っている。しかし確保してあるという手の先に、二人分の空席はなかった。 「礼二郎? どーした」 「いや、席って……」 「平尾が取っててくれてんじゃん、あいつの右二つ」 (いやいや空いてない、空いてない! 誰か座ってるだろ!!)  礼二郎は思わず後ずさりした。 「俺、今日は後ろの方に座るよ……」 「は? なんでだよ。――ああ、お前今日は具合が悪いんだったな。出やすい位置の方がいいのか。平尾に言ってくる」 「……」 目を凝らして、普段あまり見かけない人間の姿をじっと見る。ほとんど普通の人間と変わらないが、何人か輪郭がぼやけていた。  ──それは間違いなく、霊の特徴だ。

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