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②
「え、なになに何の話? 彼氏ってなんのこと!?」
謎の『彼氏』という存在について考え込んでしまった礼二郎を無視して、池永が興味津々な平尾に説明し始めた。
「礼二郎の奴、昨日ちえりちゃん達との合コンのあとに何故か彼氏作ってんだよ。意味わかんなくね? それで今日の2限もサボったんだよな。──あ、今更だけど平尾って男同士に偏見あった?」
「いんや、俺にベクトル向けられない限りは無いけど……ていうかマジで!? 俺らの礼二郎ちゃんにまさかの彼氏ィ!? 経済学部の全女子が泣くぞ! しかもサボりの理由がなんかやらしいな!」
「おい、おまえらさっきから何の話をしてるんだ?」
さすがに聞き捨てならなさすぎる。2限をパスしたのは純粋な体調不良だし、しかもそれが何故やらしいのか全く理解できない。
それと礼二郎に恋人が出来て泣くのは経済学部だけじゃなくて、この大学全ての女子と言い換えて欲しいと思った。
たしかに今朝、柴に『俺たち付き合っちゃう?』と言われたけど――……
(あ……っ)
礼二郎は、何故か急にそのことを思い出した。そして、そんな柴にキスをされたことも思い出して、ぶわっと赤面した。
「なんだよ~、午前中に盛大にノロけたの忘れたとは言わせねぇぞ。柴君はお前のことを守ってくれる頼れるダーリン♡ なんだろ? 赤くなっちゃってさぁ、こっちが照れるっつーの」
「だ、だだだ、ダーリン!?」
そんな呼び方をした覚えはない。でももし柴と付き合うことになったら、柴のことをダーリンと呼ばなくてはいけないのだろうか。
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