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「ねえ相手はどんな子なの!? 可愛い? 美人?」 「……というよりは、かっこいいですね」 「えー! なんか意外、男前な子が好きなんだ?」 「……というか、男ですし」 「「えっ?」」  店長夫人と松本の目が点になった。礼二郎はあっと思い、否定する。 「だ、だから好きなひとじゃないって言ってるでしょうが! 昨日友達になったばかりだし、そんな関係じゃないんです!!」  でも、柴は会ったばかりの礼二郎に付き合おうかと言って、その上キスまでしたのだ。(不可抗力だったともいえるが)  もし礼二郎が交際を承諾すれば、二人は恋人同士になるわけで――…… (いやいやいや!! さすがに展開が早すぎるだろっ!!) 「あらぁ……」 「あらあらあら……」  今朝のことを思い出して顔を真っ赤にした礼二郎に、女性二人は伝染したように赤くなった。 「と、とにかくそういうんじゃないですから」 「わかったわ」 「真剣なのね、からかうようなこと言ってごめんね」  女性陣は礼二郎にとにかく甘いため、からかうのをやめた。その様子を、同じ時間にシフトに入っていたもう一人の同僚(25歳♂)がしょっぱい顔で見ていた。

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