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34:超新星爆発①
「俺はコミュニケーションで男とキスしたりしなーい!! だ、だいたい今朝の人工呼吸!? みたいなヤツが俺のファーストキスだし……!!」
「えっ?」
「お、俺はまだ、京介としかまともにキス、したことないんだからな……っ!」
「………」
礼二郎が恥ずかしそうに告白したその瞬間、柴の中でナニかがドッカーン!! と爆発した。
何が爆発したのかは定かではないが、これまで19年間生きてきた自分の価値観や擦れた恋愛感、礼二郎に対する先入観――などのすべてだ。すべてが爆発して、まっさらな状態になった。
──それはまさに超新星爆発、といえる体験だった。
そして、そんな柴から最初に出た言葉は……
「……大事にするよ」
「えっ?」
「大事にするからね、礼二郎」
「あ、えっと、何を……??」
そう言われても同性と付き合ったことのない礼二郎には、柴の言ってる言葉の意味がよく分からなかった。けど、何か真剣なことを言われているのは分かった。
だが柴はそんな礼二郎の無垢な反応にもまた感動して、たまらないといった感じでぎゅうぎゅうと強く抱きしめた。
「もう一度だけキスさせて? 今日はそれ以上は何もしないから」
「ど、どうぞ?」
(別に、一度じゃなくていいんだけどな)
礼二郎はキュッと目を瞑って、ン、と柴の方に唇を突きだした。その仕草に柴が「ウウッ」と小さくうめき声をあげる。
「なんでこんなに可愛い生き物がこれまで無事だったんだ……!? あ、霊のおかげか。我が物顔の生霊アンド浮遊霊の……」
「えっ何? やっぱりこの部屋には霊がいるのか!? キスしようとしたから出てきた!?」
礼二郎は慌ててキョロキョロと部屋じゅうを確認し始めた。
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