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35:突然のダーリン①
礼二郎は望み通りに柴にキスをしてもらって満足したが、唇が離れた途端、なんだかひどく恥ずかしくなってしまった。
――口にキスしてほしい、とがっついてしまったことが。
「……これからはいつでもしたいときにキスしてあげるから、ちゃんと言ってね」
「わ、わ、わかった……」
「俺からもしていい?」
「そっちの方が助かる、かも……京介の方が背、高いし」
「そっか」
礼二郎は柴から目を逸らし、唇を尖らせながら言った。許可なんかいらないから、いつでもしたいときにしてほしいと思った。人目があるときは、少し恥ずかしいが。
そして礼二郎は、自分が柴に相談したかったことをあっと思い出した。
「京介、俺が今までよりハッキリと霊の姿が見えたり声が聞こえるようになったのは自分のせいだって言ってたけど、あれってどういう意味だ? 京介に関わった人間が全てそうなるわけじゃないよな?」
「そうだね。素質があれば別だけど」
「……つまり?」
「礼二郎は元々霊媒体質だったから、俺と関わったことで栓が開いたというか、能力が強化されたというか……そんな感じかな」
「……なるほど……」
つまり、今までD(ザコ)級霊媒体質だったのが、B級くらいになった、ということか。
(なんて嬉しくない能力強化だろう)
「ね、俺のせいでしょ。ごめんね」
「う~ん……あまり人のせいにはしたくない、けど」
「でもこれからは俺がいるから、簡単に憑かせたりしないからね」
「!」
「責任もって、礼二郎のこと守るから」
「……ダーリン……!」
「だ?」
礼二郎の口から出た横文字の単語に、柴は目を丸くした。
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