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②
「ちょ、え? ……もう一回言って?」
「ダーリン浮気はゆるさないっちゃ」
「待って。ていうか浮気しないし! ……え、何で突然ダーリン? 物真似?」
柴は礼二郎の突然のダーリン呼びについていけず、ひどく混乱している。
「池永――あ、今日一緒にいた俺の友達がさ、柴君は礼二郎のダーリンなんだろって言ったからちょっと呼んでみたかっただけだよ」
柴が笑うと思って言ったのに、こんな反応をされるのは礼二郎にとって想定外だった。
「え。今朝池永君に会った時は、俺たちまだただの友達だったよね……?」
「うん。だけどもう既に俺の彼氏だって思われてるからな、京介」
「ほう……」
そもそも自分が自身の気持ちに気付いていなかったのに、池永も平尾も鋭い。(どこまで本気で言ってるのかは分からないが)
「──そういえば、こてっちゃんは? いつも一緒にいるわけじゃないんだな」
「うん、基本的に俺の部屋にいるよ。線香のにおいが好きだから離れたがらないんだ。呼んだら来るけど、呼ぶ?」
「うん!」
柴が虎鉄、と静かに呼んだらポンッとラグの上に虎鉄が現れた。尻尾を左右に揺らし、ハッハッと舌を出してご機嫌だ。
「こてっちゃ~ん! さっきぶりだけどかわいい~!!♡♡」
「礼二郎が犬好きで良かった」
「動物ならなんでも好きだよ! 人間は自分と家族以外は愛さないっていうか、そもそも愛せないと思ってたけど!」
「……そうなんだ……」
柴はなんとなく礼二郎の胸中を察して、もう一度(絶対に大事にしよう)と心に誓った。
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