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「え、つ、付き合ってる……の? 二人は既に??」 「はい、さっきからですけど」 「そっか……ちょっと、いやかなりショックだなそれは……」 「渡邉さん全然俺のタイプじゃないんで、いい加減に諦めてくださいよ」 「!?」 (な、何だ今の会話。もしかしてこの人、京介のことが好きなのか!?) 「うう、イケメン辛辣ボーイめぇ……そんなところも好きだけどぉ」 「礼二郎の前でそういうのやめてくれます? 誤解されると困るんで」 「ウワアアアア名前呼び!! 脳が破壊されるからやめてェェ!!」 「とっとと警察呼んで対応してください。俺たちはこのまま部屋にいるんで」 「はぁ~い……シクシク」  ドアが閉まり、柴が礼二郎に向き合った。 「ごめん、うるさい人だったでしょ」 「あ、あのひと、京介のことが好きだって……」 (言ってたけど!? なんで告白されてるのにそんな普通の態度なんだ……!?) 「あー……渡邉さんはゲイで、元々俺の兄貴が好きだったんだよ。でも政宗――兄は来年結婚するから、この際弟の俺でもいいかって適当言ってるだけ。気にするだけ無駄」 「そ、うなんだ……」  そういう理由なら、礼二郎が特に気にする必要はないのかもしれない。(柴がハッキリ礼二郎と付き合っている、と言ってくれたのもあるが)  しかしあの人が柴のビジネスパートナーなのだと思うと、礼二郎はなんだか胸のあたりがもやっとした。

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