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41:兄弟について①
「政宗は俺より6つも上なんだけど」
「そうなんだ、なんとなく年子かと思った」
柴が兄のことを『マサムネ』と呼び捨てにするので、礼二郎はそう思っていた。自分にも5つ上の兄がいるが、とてもじゃないが呼び捨てになどできない。
「精神年齢は俺より下だよ、間違いなく」
「へ、へえ~……?」
「だって6つも年下の弟に顔合わすたびワケわかんない因縁付けてくるんだよ? 正気の沙汰じゃないね」
「へー、俺兄貴とケンカしたことない」
礼二郎が一方的に兄の優一郎に怒ることはあるが、逆はない。兄は礼二郎が何をしても何を言ってもただひたすら可愛いらしく、喧嘩にならないのだった。
両親が多忙なので、二人で過ごす時間が長かったというのもあるが……。
「俺も礼二郎みたいな弟がいればクッソ可愛がると思う……。付き合ってるってバレたらお兄さんに恨まれそうだな」
「ははっ、それはあるかもな~! 俺の兄貴、超ブラコンだから!」
礼二郎は今まで兄に彼女を紹介したこともされたこともないので、逆に反応が楽しみだと思った。
「(笑えない……)」
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