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礼二郎は尻込みして黙り込んでしまったが、柴は淡々と続けた。優しく礼二郎の背中を撫でていた手をツーッと人差し指で伝うように撫でて、パジャマと下着の上からそっと尻を掴み、礼二郎の蕾に触れた。 「いッ!?」 「……男同士のセックスはね、ココに挿れるんだよ」 (ここ!? ここって……本来は出すところでわ!?!?) 「そ、そんなの無理だろ……!?」 「男女の場合でもココに挿れるのが好きな奴はいるよ。アナルセックスっていって、そういうプレイなんだ」 「えぇ!?」  女性には正式に挿れる場所があるのに、わざわざココに挿れたがる奴がいるのか。とんだ鬼畜野郎ではないか、と礼二郎は思った。 「女性に疑似ペニスを着けてもらって、尻を攻められたい男もいるよ。……要するに、セックスに性別なんて関係ないんだよ」 「……そ……ッ、そう、なんだ……」  それは、あまりにも礼二郎の知らなさすぎる世界だった。  そういうことに全く興味が無かったわけではないし、むしろ男なので普通レベルにはスケベだとは思うが、あまり興味を持ちすぎたら――将来、誰とも交われないと分かっているのに、欲しくなってしまったら危険だと思って必要以上のことは知らないようにしていたのだ。  それが凄くイイモノだとしても、自分が経験することは無い。  それなら詳しく知らないままでいいし、一生それができない自分を不憫だと思うこともない。  そう思っていたのに――…… (そっか。俺、京介とならそういうことが出来るんだ……)  いつも礼二郎の邪魔をしていた霊を寄せ付けない柴と――京介とならば。

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