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12話・初体験のやり直し *
「抱いてもいいっすか。心配しなくても、俺ぜったい萎えませんよ」
「……そうみたいだね」
さっきから、二人とも全裸で向かい合っている。もちろん下半身も丸出しだ。猛り立つ俺の股間を呆然と見下ろす伊咲センパイが、プッと吹き出した。つられて、俺も笑う。
「恋人とのセックスは初めてなんだ。お手柔らかに頼む」
「善処しますが、加減できなかったらすんません」
「はは、ホントに君は……」
俺の首に腕を回し、自分から唇を重ねてくる。そして、一番欲しい言葉をくれた。
「諦めが悪くてしつこい君が好きだよ、獅堂くん」
言われた時点で俺の我慢は限界を超えた。抱きかかえるようにしてベッドに押し倒し、キスしながら身体中をまさぐる。髪の生え際、耳の後ろ、首すじ、肩、二の腕、脇腹、腰、背中、お腹、太ももを撫でまわして反応を見た。わざと胸や股間を避けていると、耐えきれなくなったのか伊咲センパイからすがりついてくる。
「焦 らしてるのか?」
「センパイに触るの好きなんすよ」
「なにが楽しいんだか……」
頬を染め、視線を外して唇を尖らせている。拗 ねた顔も可愛い。あと、やはりキスが好きみたいだ。何度も何度も自分から舌を絡めてくる。存分に応じながら、わずかな合間に耳元でささやく。
「半年間焦 がれ続けた大好きな人にやっと触れられるんすよ? 楽しいに決まってる」
俺の返答に、伊咲センパイはぎゅっと眉を寄せた。これはどういう感情だろう。嫌がっていないと判断して続きをする。後孔に指を差し込み、何度か出し入れしてみた。
「んっ……」
中に仕込まれたローションが立てる粘り気のある水音が互いの耳に届く。薄く開いた唇から漏れる吐息が色っぽくて、堪え切れなくなった。
「さっきは無理やり突っ込んじまったけど、血は出てないみたいっすね。痛くない? 切れてないかな」
「だ、大丈夫。でも奥はまだちょっと」
「わかりました。じゃ、浅いとこだけ」
今度は後ろからではなく向き合っての挿入。伊咲センパイは恥ずかしいのか枕を抱えて顔を隠している。
「……っ、あ~、気持ちい……」
伊咲センパイの体内に収まった部分がぎゅうぎゅうに締め付けられて快感がすごい。先っぽだけでコレなら、ぜんぶ挿れたらどうなっちまうんだろう。
腰を掴んで奥まで突っ込んで揺さぶりたいけど、俺の下で股を開いている伊咲センパイには全く余裕はなさそうだ。抱えていた枕は傍に落ち、片手でシーツを掴み、もう片方で口元を押さえている。あ、あ、と動くたびに漏れる甘い喘ぎ声と吐息が俺の耳に届き、じわりと理性を溶かしてゆく。
「し、しどうくん、くるしい」
「すんません、挿れ過ぎました?」
「なんか、さっきより大きい? みたいな」
挿入自体は二度目である。一度目は誤解と嫉妬で無理やりだったけど、今は気持ちを確かめ合った上だ。どうやら俺の息子はかなり張り切っているらしく、非常に制御が難しい。
「コレ小さく出来ない?」
「出すまで無理っすね」
「挿れる前にもう一回抜いておけば良かったね」
発言がいちいちエロいのなんとかして欲しい。
「そんなこと言われたら、また大っきくなるっすよ」
「べ、べつに煽ってるわけじゃ、あっ」
「無自覚でコレか~……」
伊咲センパイの希望は叶わない。
俺のちんこはむしろ大きくなり、彼の内側を更に圧迫した。
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