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 ヒュッと蹴りを出すと、ペラペラ喋っていた男の横に居た男のこめかみに当たってそいつが倒れる。 「はぁ?|こんな人の通るとこでやんのかよ!?」 「あ?ビビってんのか?」 「通報されるだろーがっ!」  さすがにリーダー格のその男はギリギリで避けたが、ついでにカバンを投げつつまた側の男の腹に拳を埋め込んだ。 「だったら大人しく帰れよ」  笑ってまた近くの男二人の頭を掴む。  ためらわず思いっきりぶつけて放ると、それを見て殴りかかってきた男の学ランの襟を掴んで腹に膝を入れた。 「おーおー、朝から元気だな」  亮雅ののんきな声が聞こえてまた一人顔面をぶん殴ってからヒラヒラと亮雅に手を振っておく。 「てめぇ……フザけんなよ?」  顔を真っ赤にして睨んでくる男は周りを見てから残った唯一の男と目を合わせる。 「お前らこそフザけんなよ?弱すぎて時間潰しにもならねぇじゃねぇか!」  ため息を吐いて垂れた前髪を掻き上げると、男は目を吊り上げた。 「椎堂、てめぇ、殺す!」 「おぅ!来いよ」  笑うと、ちょうど亮雅が俺のカバンを拾うのが見える。  柵に腰掛けつつタバコを取り出して咥えるのを見て、 「俺にも後で一本」  声を掛けると、目の前に居た男は更に目を吊り上げた。 「フザけんなっ!」  俺の背後に居た男は持っていたバットで殴ってきて、俺は男のバットを掴んで引いてやる。  目の前の男が振り上げた拳にむしろ掴まえた男を差し出してやると、避けられずその拳はバットの男の横っ面にめり込んだ。

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