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「従順な犬だな」
亮雅が居なくなった瞬間に口調が変わって横目で睨む。だが、
「お前らも同中だってな」
相変わらず獅子谷は気にすることもなく少し笑ったような余裕の顔で口を開いた。
「も?」
少し引っ掛かると、
「いや……何でもない。行くぞ」
自分が何かを言いかけた癖にさっさと区切って獅子谷は足の向きを変える。
ついて行くのは癪だが何か気になった。
一瞬見せた少し苦しそうな顔。
獅子谷 の顔を歪ませたのは何か?
「何だって?」
「うるさい」
もう一度聞いても獅子谷は話すつもりはないらしい。
だが、そうなるとどうしたって口を割らせたくなる。
「お前、同中に何かあんのか?」
「ちゃんと先生と呼べ」
歩く獅子谷の横に並んでみても、獅子谷はスタスタとこっちも向かず足も止めなかった。
「獅子谷センセっ♡これでいいかよ?」
「フザけてんのか?」
睨まれて、とりあえず反応したことが少し嬉しいなんてどうかしてる。
でも、この細められた目はどこかで見覚え……が……?
思わず伸ばした右手が獅子谷のメガネを取ると、驚いたような獅子谷が足を止めてこっちを見上げた。
「あれ?……んー?」
覗き込むその黒い瞳。
訝しむようなその顔。
「……“小さき百獣の王”」
呟くと、バチンと音がするほど凄い勢いで口を押さえられた。
その素早さと力の強さにこっちが驚く。
「お前、そんなのどこで……」
学ランの袖を捲って革のブレスレットを見せると、獅子谷は目を見開いた。
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