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グロスのついた唇が気持ち悪い。
「圭斗とデキるって……嬉しい」
クルクルと綺麗に巻かれた栗毛色の髪が揺れる。
にっこり笑われても特に昂るものはなかった。
とりあえず、押し倒してみるものの、胸に触れても何も感じない。
前髪を掻き上げて体を起こすと、亮雅はソファーに座って上に女を乗せていた。
甘い声をあげる女に舌を這わせるのを見て目を逸らす。
いつもなら亮雅たちを見て更に目の前の女を泣かせたくなるのに。
その鼻にかかったような声にも吐き気を覚える。
「圭斗?どうしたの?」
肩に手を付かれて、俺はその手を払ってベッドからも降りた。
それに気付いた亮雅の視線を感じる。
「気が変わった。とっとと帰れ」
バチンと雑に髪を解くと、そのままヘアゴムも捨てて俺はシャワーに向かった。
服を脱ぎ捨ててバスルームに入ってからしゃがみ込む。
俺の下半身は一切反応していない。
気が乗らなくてもこれまでも女を抱くことはできたのに。
イラついて立ち上がると、熱めのシャワーを頭から浴びた。
女の肌に触れる度に感じた違和感。
なぜか浮かんで消えない獅子谷の顔。
「……伝説の男、を抱いたのか……」
呟いた瞬間、ドクンと音がした気がした。
あの長い金髪をなびかせてタバコを吸う姿。
前を開けた学ランで軽々と自分より大きな男も伸していった姿。
俺の髪を掻き乱して笑ったあの笑顔。
「……マジか?」
さっきまで一切無反応だったソコが張り詰めているのを感じて俺は深いため息を吐いた。
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