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 目の前に出されたプリントを見てげんなりする。 「そんなんより」 「そんなん?お前なぁ、授業はほぼ受けてない。中間も赤点ギリギリ」 「赤点じゃねぇならいいだろうが!」  ピシッとプリントを指で弾くと、獅子谷は深い息を吐いた。 「お前、出席日数だって補充で全て何とかしてやれる訳じゃないからな?それに期末で点数取れねぇならもう救いようもないんだぞ?」  前髪を掻き上げて見える右目脇のほくろ。  それがやけにエロく見えて目を逸らす。 「はぁー?意味わかんねぇし!」 「お前なぁ……そもそもお前は優等生だったんじゃないのか?」  べぇっと舌を出してやると、獅子谷は少しネクタイを緩めてため息を吐いた。 「うるせぇ!あんたこそ……何でデリヘルなんてやってんだよ?」  こっちが触れられる前にむしろさっき途中になった本題を振る。 「だから、それはどこに証拠があるんだ?って言っただろ?」  なのにやはり答える気のなさそうな返答に俺はグッと奥歯を噛んだ。 「……もうやんな」 「はぁ?そんなのお前に関係な……」 「自分より大きい男でも軽々倒してたあの伝説の男が……男に金で簡単に組み伏せられてるとか……嫌なんだよ!」  立ち上がって机を叩く。 「……」  獅子谷はそれには何も答えなかった。  

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