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 何日か過ぎ、獅子谷に「明日は期末だから絶対遅刻するなよ」と何度も言われてげんなりしながら学校を出た。 「結局、数学とか普通科目も全部教えてもらったんだろ?」 「何で俺だけ」 「俺はそれなりに授業出てるからだろ?」  平然と言う亮雅を睨んでやる。 「あー、亮雅は遅刻してくるけど一時間目から一応は居るもんなぁ」  祐生まで言うのを聞いて睨んでやると、祐生はビクッと跳ねて「んじゃあっ!」と逃げて行った。   「何だ、あいつ」 「あー、今日は彼女とデートだろ?」 「デートぉ?」  笑える単語に反応すると、亮雅は少し驚いたような顔をする。 「あれ?ユマちゃんから聞いてねぇの?」 「ユマ?」 「最近ちょいちょい一緒に居るんじゃねぇの?」  確かにあの日誘われてあいつの家に行ってからたまに一緒には居るが、気分がノればヤっているだけでちゃんと話をすることもない。  再び女でもデキることを実感しただけの、本当にただ都合のいい関係だった。 「ユマちゃんの親友、ココロちゃんが祐生の彼女」 「へぇ」 「興味ねぇだろ?」 「関係ねぇもん」  適当に笑ってそのまま歩く。  亮雅もそれ以上何かを言うこともなかった。だが、 「椎堂、顔貸せ」  バッと目の前を塞がれてため息を吐く。  鉄パイプを持った学ランの男。 「佐尾……でも、これはちょっとヤバいか?」  亮雅の呟きを聞きつつ舌打ちをする。  周りを囲まれた俺たちは近くの廃工場へと連れて来られた。

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