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「お前らはバカなのか?明日はテストだっつってるのに」  入り組んだ路地を難なく進みやってきた建物。  一度振り返った獅子谷はドアノブに手をかけると軽く回して締まっていることに舌打ちをした。  そして、右足でためらうことなくドアを蹴破る。 「おい……いいのかよ?」 「あ?緊急事態だろーが」  返事にもなっていない言葉を返して、獅子谷は俺と亮雅をソファーへと押した。 「……メガネを外すと人格変わるスイッチでもあるのか?」  ぽつりと溢した亮雅の言葉に笑ってしまう。 「こっちの方がいいよなぁ?だって伝説の男“小さ”……」  バチンと口を手で押さえられて声にはならない。 「てめぇなぁ?」  電話をしていたらしい獅子谷はスマホを握って思いっきり睨んできた。  凄んでいるのかもしれないが、俺はずっと見たかったその目が目の前にあって目を輝かせてしまう。 「ヤベぇ……死ねる」 「あ?」  呆れたのか眉を寄せてスマホを置くと、獅子谷は奥のドアを開けて何やらガサガサと漁り始めた。すると、 「おーいっ!怜旺っ!何やってくれてんだ!お前はっ!!」  ガタガタと蹴破られたドアを立て掛けてから茶色い短髪で丸眼鏡をした男が入ってくる。 「急ぎだっつったろーが!いいからさっさとそいつら頼んだ!」  戻ってきた獅子谷は「タオルもねぇ」とボヤいて空いている向かいのソファーにドカッと座った。

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