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「だからってドアを壊すバカが居るか!ったく……」  ガシガシと頭を掻くと、男はテーブルにためらうこともなく腰掛けて俺らと向き合う。 「てか、頭やってるじゃないか。ここにはレントゲンとかないぞ?」  俺と亮雅を見てすぐに俺の頭に触れてきた男はハァーと深いため息を吐いた。 「つか、てめぇは誰だよ!」  勝手に髪を掻き上げられてその手を払うと、男はこっちを見てにこっと笑う。 「渋谷(しぶや)順平(じゅんぺい)。一応医者で、こいつの幼なじみそのだよ」 「「二?」」  亮雅と声がカブると、獅子谷は「余計なこと言わなくていい」とまた立って居なくなってしまった。 「……きみらは?見たところ高校生だろ?」 「順!うちのクラスの教え子二人だ!いいからさっさと手当てしてくれ!早く帰して明日は絶対期末受けさせるんだからな!」  俺と亮雅が口を開く前に獅子谷が奥から声をあげる。 「へぇ。本当に先生やってんだなぁ」  笑いながら渋谷は「触るよ」と落ち着いた声で言って俺の頭に診た。 「うーん……とりあえず傷は大きくはないし、顔色も悪くないし、元気ではありそうだけど……やっぱりレントゲンは撮りたいかなぁ?」  カバンから色々取り出して俺の頭を止血する。 「きみも……左足はちゃんと診たいしねぇ」  カチャッと音を立ててメガネを上げた渋谷はデキる医者の顔だった。

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