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 ドアの修理をするように言われた獅子谷は残って業者の対応をすることになり、俺と亮雅は渋谷の車に乗せられた。  着いたのは『渋谷医院』。  どう見ても親の代から続く町医者にしか見えなかった。 「おいおい、順平。ベッドは一つしか空いてないぞ?」  しかも、出てきた白衣の男は人の良さそうな白髪混じり。  イメージ通りで面白味はない。 「大丈夫。レントゲン撮って一応確認するだけだから」  渋谷は亮雅に車椅子を持ってくると有無を言わさず座らせて押しながらさっさと中に入った。  俺も後に続いてそのザ病院!の空気に舌打ちをする。 「ん?安心しろ!レントゲンだけなら痛くはないぞ?」  ポンポンと親父の方に腰を叩かれてガキ扱いされたことにイラついた。だが、 「昔の怜旺くん見てるみたいだな」  懐かしむような、少し苦しそうな顔を見て怒鳴るのは止める。 「そうだろ?その怜旺の教え子たちだよ」 「教え子?そうか……あの怜旺くんも本当に先生をやっているんだなぁ。それは典子(のりこ)さんにも話してあげないとな」  渋谷と話して親父さんに微笑まれた。 「典子?」 「いいからきみたちはこっちだよ」  手招きされて呼ばれる。 「あ、でも、頭だし先に椎堂くんのレントゲン撮るから父さんは八神くん診ておいてくれる?」 「あぁ。こうやってヤンチャする子を診るのも久しぶりだな」 「……勘弁しろよ」  キュッと靴を鳴らした渋谷の顔は寂しそうな辛そうな顔だった。

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