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「よし、とりあえず二人とも帰ってもいいから……送るよ?」  頭と左肩に巻かれた包帯と至るところに貼られた湿布。  亮雅は松葉杖を言われたが本気で嫌がって、とりあえず俺の肩に掴まって歩いていた。 「それか明日テストだって怜旺も何度も言ってたし……今から勉強もするか?」  ニヤリと笑われて俺と亮雅は無視をする。 「お、そう来るかぁ」 「は?」  亮雅が反応してしまうと、渋谷はくすくすと笑ってメガネを上げた。 「よく怜旺の勉強もみてやったからなぁ」 「そうなのか?」  獅子谷の話なら俺も聞きたい。 「(みのる)に引っ張られてテスト前はいつもうちに来てたからね」  渋谷も俺が興味を持ったのに気付いて微笑んだ。 「実?」 「幼なじみその一だよ!怜旺と同い年で中学まではいつも一緒だったよ」 「中学まで?」  聞きたいことは山ほどある。  ずっと一緒だった男なんて……俺が会った時には伝説の男にいつも一緒の男なんて居なかったから。  この渋谷は“小さき百獣の王”のことも知っているのだろうか? 「お前は同い年じゃないのか?」 「俺は三十一。怜旺たちよりは四つ上だよ」  亮雅の問いに答える渋谷をじっと見つめる。  こいつなら……いつも話してはくれない獅子谷の過去も話してくれるのだろうか?  あの頃急に姿を消した理由も……今あんなデリヘルまでやっている理由も?

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